咽頭期嚥下運動は延髄に支配される反射運動で、その開始の絶対的基準は提示されていない。咽頭蠕動波の発現機序は明らかではないが、恒常的に発現する運動であり、咽頭期嚥下運動の開始の絶対的基準になりうると考えられる。本研究では消化管の蠕動運動における外縦筋を咽頭挙筋、内輪筋を咽頭収縮筋とし、その協調運動によって咽頭蠕動運動が発現すると考え咽頭後壁の挙上と収縮の関連につき解析した。咽頭後壁は挙上し、その後下降するが、その下降と同時に咽頭蠕動波が出現し下方へ伝播した。この一連の運動は再現性の高い時間的関係にあり、消化管の蠕動運動に類似し、咽頭の挙上運動は咽頭蠕動波の発現に関与する可能性が示唆された。
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