研究課題/領域番号 |
23791947
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
兵 行義 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80412203)
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キーワード | 薬剤耐性菌 / 黄色ブドウ球菌 / 超微形態的観察 / 細胞壁厚 |
研究概要 |
現在、臨床の現場では薬剤耐性菌は猛威を振るい、治療に難渋することが多い。薬剤感受性と耐性菌には表面形態には差がないといわれている。しかし、平松らがVISA(Vancomycin-intermediate Staphylococcous aureus)の表面形態上、細胞壁肥厚という態的特徴を有することがわかり、それが、耐性メカニズムになっていると報告されて以来、現在細菌学において、形態的特徴を確認することが注目されている。 われわれは以前、マクロライド系抗菌薬少量長期療法の無効例の慢性副鼻腔炎患者の上顎洞から分離された、Staphylococcous capitis の超微形態的特徴が細胞壁肥厚という形態的特徴を有することがわかり報告をした。その後、今回、川崎医科大学付属病医院から譲渡された薬剤感受性黄色ブドウ球菌、マクロライド耐性黄色ブドウ球菌、多剤耐性黄色ブドウ球菌の細胞壁の形態的特徴を確認したところやはり、マクロライド耐性ブドウ球菌や多剤耐性ブドウ球菌では薬剤感受性菌に比べ、細胞壁が肥厚する特徴を有していたことが分かった。 またマクロライド耐性黄色ブドウ球菌においては、多剤耐性株との間には差がないことからも多剤耐性株の細胞壁肥厚という特徴はマクロライド系抗菌薬によるものが十分示唆されたことを報告した。つまり前述のVISAの細胞壁肥厚の特徴に関しても同様にマクロライド系抗菌薬が関与している可能性も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回、臨床由来薬剤耐性黄色ブドウ球菌に関しては検討を終了し、報告することができた。しかし、新たにアレルギー性鼻炎患者の中における薬剤耐性菌の関与も検討を始め、現在検体採取が終了し、追加検討を始めている。
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今後の研究の推進方策 |
アトピー性皮膚炎は大きく黄色ブドウ球菌の関与が示唆されている。しかしアレルギー性鼻炎においても同様であり、小児を対象とした場合はCA-MRSAの検出がでやすいこともある。CAーMRSAにおいては前述のマクロライドは感受性であるために、われわれの推論のように細胞壁肥厚はしない薬剤耐性菌になる予定であり、これについて今後の検討項目とする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
一年目に行う予定であった、菌株採集に関して、今年度の採集をできたことにより超微形態観察などはまだ試行できていないことが繰越金が生じた理由である。具体的にはダイヤモンドナイフを新規購入と研磨を行う予定である。また英文校正料金として現在数本依頼中である、それを研究費をあてる予定である。
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