従来より薬剤耐性菌と感受性菌において形態的違いはないと報告されてきた。しかし1997年VISA(Vancomycin-Resistant Staphylococcus aureus )の超微形態的特徴として細胞壁肥厚という特徴を有することが発表されて以来、細菌の細胞壁について注目されている。我々は耳鼻咽喉科領域で頻用されているマクロライド系抗菌薬(MLs)に対する耐性菌の細胞壁が肥厚する特徴を有することを発表し、様々な抗菌薬耐性菌の超微形態学的構造を検討している。それにより、VISAだけではなく他の抗菌薬耐性菌にも細胞壁肥厚という特徴を有していることが判明し、報告している。 今回われわれは黄色ブドウ球菌において超微形態的特徴を検討し、MLs耐性ブドウ球菌が細胞壁肥厚という形態的特徴を有していることを報告した。 また多剤耐性ブドウ球菌においても感受性菌にと比較しても有意に細胞壁肥厚という形態的特徴があり、その一因としてタンパク合成阻害耐性機構が働いている可能性が高いことが示唆された。
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