研究課題/領域番号 |
23791948
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
上田 祥久 久留米大学, 医学部, 講師 (20299415)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 |
研究概要 |
生後2日のCD-1マウスから蝸牛組織を摘出し、コラーゲンジェル(Collagen type I、Basal Medium Eagle、Sodium Carbonate)上に置き、培養液(DMEM, 10% Fetal Bovine Serum, 1% Penicillin G)内で培養した(37℃、5%CO2)。内耳障害モデルを作成するため、培養2日目に0.5mMゲンタマイシンを含有した培養液で24時間培養した。その後ゲンタマイシン含有培養液を完全除去し、更に通常の培養液で2日間培養し、培養内耳組織をTJ modulators(20μM H89)で1時間処置した。1、細胞間隙開大の観察:前述のTJ modulatorsによる処置直後に4%ホルマリンで1時間固定し、ZO-1抗体を用いて免疫染色した。H89で処置された内耳上皮細胞間隙はDouble lineとして観察された。つまり、細胞間隙が開大されたものと考えられた。2、移植細胞の上皮内侵入の観察:前述のTJ modulatorsによる処置後に、培養組織をmCherry細胞と共に24時間培養した。その後PBSにて3回洗浄し、生着していないmCherry細胞を除去した。4%ホルマリンで1時間固定し、上記同様にZO-1抗体を用いて免疫染色した。Confocal Microscopyを用いて垂直断面を観察すると、H89で処置された内耳上皮では移植細胞が開大した細胞間隙に侵入する所見が得られた。要するにTJ modulatorsで開大された細胞間隙は移植細胞の生着の足場となり得ることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたTJ modulatorsの効果を細胞間隙開大と移植細胞の侵入という2点で確認することができた。しかし、TJ modulatorsとしてH89のほかに、Sodium Caprate、EGTAでも同様の実験を行い、最適な薬剤を検討することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の結果をもとにin vivoでの実験を開始する。ハートレー系モルモット(300-500g) を使用し、幹細胞移植前5日にネオマイシンを用いて難聴モデルを作成する。全ての動物は蝸牛階にマウス由来ES細胞N7K9 (pUS2-eGFP-Hyg)を移植されるが、その際、TJ modulatorsを用いた群とTJ modulatorsを用いない群とに分けて検討を行う。 TJ modulatorsと幹細胞移植の方法は以下の如くである。蝸牛第二回転・蝸牛階にcochleostomyを行い、1μL / 分の速度でTJ modulatorsを注入する。TJ modulatorsとしてH89を用いる。TJ modulators注入15分後、5μLのES細胞(濃度1000cells/μL)を同部位から注入する。Tissue preparation:移植後1,2,4週間後蝸牛を丁寧に摘出し、4% PFAで固定する。10% EDTAで脱灰後(4oC、10日間)、10µm厚で凍結連続切片を作成する。5切片毎、Oct3/4とDAPIを用いて染色する。 移植された幹細胞数を蝸牛階、鼓室階、前庭階、蝸牛軸別にカウントする。EGFP陽性、DAPI陽性、Oct3/4陽性細胞をもって移植幹細胞と同定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
免疫組織染色用抗体と実験用モルモット(ハートレー系)の購入を予定している。また研究結果を米国耳鼻咽喉科研究学会(ARO)で報告する予定である。
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