研究課題/領域番号 |
23791948
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
上田 祥久 久留米大学, 医学部, 講師 (20299415)
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
培養内耳組織を用いた実験で、細胞間隙を開大させる効果をTJ modulators H89で確認した。 この得られた結果を基に、内耳組織(in vivo)でのTJ modulators H89の効果を確認した。まずハートレー系モルモット(300-500g) を用い、ネオマイシンで難聴モデルを作成する。TJ modulatorsを用いた群とTJ modulatorsを用いない群とに分け、モルモット内耳におけるTJの変化を観察した。すなわち顎下部からアプローチして中耳腔を開放し、蝸牛第二回転・蝸牛階にcochleostomyを行い、1μL / 分の速度で TJ modulators を注入した。 TJ modulators 投与1時間後に蝸牛組織を摘出し、 ZO-1およびactin染色を行い、細胞間隙開大を蛍光顕微鏡で観察した。TJ modulators H89を用いた内耳細胞間隙は開大が確認され、本年度予定している幹細胞移植において、この開大した細胞間隙が、細胞移植の足場となる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内耳組織(in vivo)でTJ modulators H89の効果が確認できたことは有益であったと考えるが、薬液の内耳内投与で細胞損傷が強く認められることも多く、TJ modulators H89の濃度、注入方法の再考が必要と考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに得られた結果を基に、TJ modulatorで処理された内耳にマウス由来ES細胞を移植する。蝸牛第二回転・蝸牛階にcochleostomyを行い、TJ modulators(濃度再考予定)を注入15分後に、5μLのES細胞(濃度1000cells/μL)を同部位から注入する。移植後蝸牛開窓部はcarboxylate cement (Duleron)にて閉鎖する。 移植後1,2,4週間後にketamineとxylazineを用いて麻酔を施し、PBSと4% PFAで全身環流固定を行う。蝸牛は丁寧に摘出し、更に4時間4% PFAで固定する。10% EDTAで脱灰後(4oC、10日間)、10µm厚で凍結連続切片を作成する。5切片毎、蛍光抗体にて染色する。染色方法は以下の通りである。PBSで洗浄後、 0.3% Triton X-100、5% goat serumで前処置を行う。一次抗体としてOct3/4(1:500 、overnight、4 oC)を用いて染色する。PBSで洗浄し、二次抗体としてAlexa 594 phalloidin (1:200、30分、室温)を用いる。DAPIにて核染色し顕鏡する。サンプルは蛍光顕微鏡、confocal microscopyで観察する。判定方法であるが、移植された幹細胞数を蝸牛階、鼓室階、前庭階、蝸牛軸別にカウントし、EGFP陽性、DAPI陽性、Oct3/4陽性細胞をもって移植幹細胞と同定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
免疫組織染色用抗体と実験用モルモット(ハートレー系)の購入を予定している。 研究結果を米国耳鼻咽喉科研究学会で報告する予定である。
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