研究課題
網膜色素変性症に起因する遺伝子は、40以上も報告されている。本研究では、網膜色素変性症の遺伝子変異に関わらず、遺伝子異常を修正する「Replacement Therapy」について、検討を行う事を目的とした。H23年度及びH24年度の研究を通して、以下の結果が得られた。(H23年度)視細胞に特異的に発現させる為、ロドプシンプロモーターを用いて遺伝子導入を行ったが、プロモーター活性が極めて低かった。これに対し、Interphotoreceptor Retinoid-Binding Protein(IRBP)プロモーターとphosphodiesterase(PDE)プロモーターの組み合わせを用いる事で、網膜視細胞に特異的に遺伝子導入を行える事が分かった。実験では、IRBP-PDEをプロモーターとしたアデノ随伴ウイルス(AAV-Type5)を作製し、網膜下から投与した。この結果、視細胞特異的に遺伝子発現を起せたが、網膜の一部のみに発現が限られた。そこで、細胞へのウイルス親和性、安定性を高めるため、ウイルスキャプシドタンパク質のアミノ酸を改変した。(H24年度)ウイルスキャプシドタンパク質のアミノ酸を改変したウイルスを用い、網膜下より投与した。その結果、投与範囲を中心に遺伝子導入範囲の拡大が見られた。このベクターを用い、視細胞でのall-trans retinal から11-cis retinalの合成をもたらす光異性化酵素opn5遺伝子をゼブラフィッシュから得て、S334Terラットへ遺伝子導入を行った。しかし、顕著な保護効果を確認できなかった。視細胞保護効果を示すには、さらに広範囲の遺伝子導入を行う必要があると考えられる。今後は、網膜下への投与ではなく、硝子体側から投与し広範囲に視細胞へ遺伝子導入を行うベクターを作製したい。
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