研究課題/領域番号 |
23791965
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
石井 晃太郎 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20566616)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 緑内障 / 非接触式眼圧計 / フーリエ解析 / 有限要素解析 |
研究概要 |
本研究では,生体のばらつきに依存しない正確な非接触眼圧測定装置のプロトタイプの開発を目的とし,緑内障の診断・治療に貢献することを目的とした.そのために,(1)眼圧の非接触測定の際に圧搾空気を受けて動的に変形する角膜の応答を,卓越振動数を取得可能なレベルでの情報取得を行うこと,(2)圧縮空気による動的応答ならびに眼球の構成要素形状など測定可能な情報に基づいた,精緻な動的有限要素解析シミュレーションを行い,直接測定することが不可能である,角膜をはじめとする生体眼を構成する材料の物性の同定,(3)測定装置のプロトタイプを製作し,健常者と疾患を持つ者に対してそれぞれ計測を行うことにより,従来の測定法に対する改良効果の確認,の3点を本研究の研究計画としていた.初年度は研究代表者による計測部において,従来型の非接触型眼圧測定装置の噴圧発生部分と輝度センサ部を改造した非接触眼圧測定装置による計測を行い,フィードバック情報を与えるための動的有限要素解析モデルの作成をシミュレーション部の分担者亀田敏弘が行う計画であった.計測部においては,豚眼を対象とした卓越振動数の計測実験を行い,学会発表および論文発表の準備を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は研究代表者による計測部において,従来型の非接触型眼圧測定装置の噴圧発生部分と輝度センサ部を改造した非接触眼圧測定装置による計測を行い,フィードバック情報を与えるための動的有限要素解析モデルの作成をシミュレーション部の分担者亀田敏弘が行う計画であった.計測部においては,予定されていた計測実験を行ったが、シミュレーション部においては,モデルの作成が完了しなかった.しかしながら,動的有限要素解析モデルのおよそ90%程度は作成済であり,次年度の研究計画に支障を及ぼすレベルの遅延は認められなかった.このため,初年度の研究計画のおおむねは達成されていたと考えられた.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は輝度センサと有限要素解析の双方から得られた情報をもとに,角膜その他の材料物性を同定し,その影響を加味した真の眼圧の測定方法を確立する.実際に眼圧が上昇している場合のデータについては,研究協力者が患者の同意が得た上で,実測を行うこととする.緑内障患者の眼球構成要素の物性が健常者のそれとは異なるという報告もあり,本研究手法で確認ができる点も重要である.システムとして考える場合,特に動的有限要素解析部分に要する時間が無視できない可能性がある.その場合には,代表的な角膜物性とその応答の関係のデータベースを事前に作成しておき,マッピングによる対応関係によって高速に眼圧を算定する方法を採用する.この手法は申請者の既報告(データベース型数値計算)の応用であり実績がある.
|
次年度の研究費の使用計画 |
画像データ,有限要素解析結果はともに情報量が多く,蓄積されるデータが増加することが見込まれる 24年度以降には,様々なケースのデータの保持,万が一の場合に備えて,RAID機構をもった信頼性の高い大規模データストレージデバイスが必要である.また,東京にて開催される眼科基礎研究領域の最大の学会である日本眼科学会総会および,米国にて開催される世界最大の眼科学会であるAssociation for Research in Vision and Ophthalmology(ARVO) Research Meetingにおいて,研究成果を発表する.
|