緑内障は本邦の失明原因の第一位であり、その診断治療は重要である。現在、科学的根拠のある治療法は眼圧の下降のみとされている。現在の眼圧計は、角膜表面を圧平することで眼球の硬さを計測するゴールドマン圧平眼圧計に準拠している。本研究では、従来の眼球の硬さ測定に基づく測定理論とは異なり、微小外力から眼球表面に生じる固有振動を解析することにより、眼球表面に作用する張力を間接的に測定した。従来の研究報告などにもとずく我々の仮説では、眼球表面つまり角膜に作用する張力は、眼球内圧によって生じていると考えられ、眼球表面の張力測定が、眼圧測定法として成立しうると考えた。我々の仮説を実証するための臨床研究は平成24年に行われ、その成果物は、同年の日本眼科学会総会および米国国際眼科学会(ARVO)にて発表した。 平成25年度の活動では、本研究での主要な測定機器部分となる非接触式眼圧計の解析結果が英文科学雑誌に掲載された。また、本邦で特許取得済みである、固有振動数解析を用いた眼圧測定法の米国での特許取得を、現在申請中である。 今後の研究の展開に関しては、固有振動数解析を用いた眼圧測定法に関する論文を投稿準備中である。また、平行して外部一般企業との産学連携の交渉中である。これまでの研究結果に基づく新型眼圧計のプロトタイプを作成する事を第一目標として展開しており、臨床試験を経ての製品化を目指している。また、国際特許の取得に伴い、諸外国での事業展開も視野に入れている。
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