研究目的:加齢黄斑変性における房水中のサイトカイン濃度と加齢黄斑変性感受性遺伝子多型との関連を調べること。 対象と方法:抗VEGF抗体硝子体注射治療を受けた加齢黄斑変性患者と白内障手術を受けた眼底に異常を認めない患者をコントロールとして、房水中のサイトカイン濃度(房水中VEGF、CRP、IP-10等を含む14種類のサイトカイン)を測定した。また対象者から末梢血を採取し、DNAを抽出、TaqMan法で加齢黄斑変性感受性遺伝子であるARMS2(rs10490924)及びCFH(rs800292)遺伝子多型の遺伝子型を決定し、サイトカイン濃度と両遺伝子多型との関連を調査した。 結果:加齢黄斑変性患者では、control群と比較して房水中VEGF濃度は有意差は認めなかったが、房水中CRP濃度は有意に高かった。白人加齢黄斑変性では、全身(末梢血)のCRP濃度とCFH遺伝子多型との間に関連があると報告されているが、本研究では加齢黄斑変性患者間の房水中CRP濃度とARMS2及びCFH遺伝子多型の遺伝子型との間に明らかな有意差は見られなかった。 結論:房水中のCRP濃度は、加齢黄斑変性で有意に上昇しているが、加齢黄斑変性の感受性遺伝子多型との関連は認めなかった。これは、加齢黄斑変性が眼底の黄斑という局所での発症であるため、前眼部の房水に反映されにくいことが影響している可能性が考えられるが、今後症例数を増やして検討する必要があると考えられる。
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