現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RP原因遺伝子のスクリーニングは、既に欧米等の施設によって行われているが、我が国のRP患者における変異解析は少数のadRPとarRP患者で行われているのみであった。この状況を打開するために、申請者は研究協力者と共同でarRP、adRP, レーバー先天盲(Leber’s Congenital Amaurosis, LCA)患者の収集を開始した。本年度は収集できた100人のarRP、19人のadRP、28人のLCA患者に対してPCRダイレクトシーケンス法を用いてEYSの変異解析を行い、18人のarRP患者から7種(c.4957_4958insA, c.8868C>A, c.2522_2523insA, Deletion exon 32, c.6557G>A, c.7793G>A, c.8351T>G)の疾患原因変異を同定した。18人中9人は片側アレルの原因変異のみ同定できた。また上記18人の患者以外の8人から6種のミスセンス変異も同定した(c.77G>A, c.2923T>C, c.5404C>T, c.5884A>G, c.8875C>A, c.9272T>C)。今回同定した13種の変異のうちc.6557G>A以外の12種は新規変異であった。18人中12人にc.4957_4958insA、18人中4人にc.8868C>Aの変異を同定した。19人の日本人adRP患者と28人のLCA患者からは上記2種の変異は見つからなかった。これら2種の変異は日本人arRP患者において突出して頻度の高い遺伝子変異である可能性が高い。この結果は2012年にPLoS ONEに掲載された。本年度は、100名の日本人arRP患者を収集し、EYSの変異解析を実行することができた。我が国にこれだけ大規模にRP症例を収集して行う原因遺伝子の変異探索は初めてであり、達成度はおおむね順調に進展していると言える。
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