研究課題
網膜色素変性 (RP) は、視細胞と網膜色素上皮の機能を原発性、びまん性に障害する遺伝性、進行性の疾患群である。RPの遺伝形式は常染色体優性遺伝 (ad)、常染色体劣性遺伝 (ar)、X連鎖性遺伝の3種類で見られ、これまでに55個の原因遺伝子が同定されている。本疾患に対する有効な治療法の開発のためには遺伝子レベルでの病因解明が必要である。申請者は昨年度、日本人arRP患者でEYSに変異が検出される頻度が非常に高く、100人のarRPから12人にc.4957_4958insA、4人にc.8868C>A変異を同定したことをPLoS ONE誌で報告した。本年度の研究計画は (1)EYSの変異探索、(2)遺伝子変異と表現型の検討を計画した。(1)はarRP患者の収集を継続し、更に106 人のarRP患者を収集した。新たに収集したarRP患者に対してはc.4957_4958insAとc.8868C>Aについて変異解析を行い、arRP患者106人中15人にc.4957_4958insA、5人にc.8868C>A変異を同定した。これまでに解析したarRP患者を含めると206人中27人にc.4957_4958insA、9人にc.8868C>A変異を同定した。これら2種の変異は我が国のarRP患者の主要な原因変異の可能性が高いことが改めて明らかとなり、同内容を第66回日本臨床眼科学会等で報告した。(2)は、EYSより原因変異を両アレルより同定できた10名について個々の臨床像と変異の関連について詳細な検討を行った。結果、EYS異常によるRP患者の臨床像は類似しており、特にc.4957_4958insA変異をホモでもつ患者の臨床像は EYSに他の変異を持つ患者と比べて臨床像のばらつきが少なかったことを明らかとした。同内容はOphthalmic Genetics誌に来年度公開される予定である。
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Ophthalmic Genetics
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