研究課題/領域番号 |
23791979
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大音 壮太郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10511850)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 加齢黄斑変性 / 視細胞 / 眼底イメージング |
研究概要 |
(1)健常眼におけるAO-SLOの撮影 健常眼における黄斑部視細胞の細胞密度、細胞形態に関するデータを蓄積する。対象者は20-80歳の健常者(眼科疾患、脳疾患、神経疾患、血液疾患、糖尿病、高血圧の既往歴をもたないもの)とする。各年代10名程度のボランティア募集を行い、のべ40名の撮影を行った。Early Treatment Diabetic Study Group (ETDRS)で定められた各セクターの視細胞像を取得する。一般的眼科検査(視力、眼圧、視野、細隙灯、眼底)のほか眼底写真・スペクトラルドメイン光干渉断層計(SD-OCT)撮影を行い、病理眼を除外した。(2)萎縮型加齢黄斑変性患者眼におけるAO-SLOの撮影 萎縮型加齢黄斑変性患者眼における黄斑部視細胞の細胞密度、細胞形態に関するデータを蓄積した。30名の撮影を行った。経時的変化を観察するため、6ヶ月に一度検査を行っている。ETDRSで定められた各セクターの視細胞像を取得し、2回目以降の撮影では初回と同部位を測定する。一般的眼科検査(視力、眼圧、視野、細隙灯、眼底)のほか眼底写真・SD-OCT・眼底自発蛍光・眼底視野計 (MP-1)検査を施行した。(3)視細胞の形態と機能の相関に関する検討 AO-SLOで得られた健常眼および萎縮型加齢黄斑変性患者眼における黄斑部視細胞の細胞密度、細胞形態と、眼底自発蛍光シグナルとの関連およびSD-OCTにより得られた黄斑部網膜の3次元立体構造(全網膜厚・外顆粒層厚・視細胞外節厚)との相関を検討した。また眼底視野計 (MP-1)により得られる眼底像に重ね合わせた網膜感度マップと視細胞形態・密度との相関を検討した。これらのデータから形態機能相関解析ソフトを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)健常眼におけるAO-SLOの撮影50名程度の撮影を目標としていたが、募集の遅れから現在40名のデータベースとなっている。今後さらに追加し、正常眼データベースを確立する。(2)萎縮型加齢黄斑変性患者眼におけるAO-SLOの撮影50名程度の撮影を目標としていたが、症例数の不足から現在30名のデータが収集されている。今年度も追加していく必要がある。(3)視細胞の形態と機能の相関に関する検討ソフトウェアを現在作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
症例数が不足気味のため、黄斑外来各医師の協力体制のもと、更に症例を追加してデータを収集する。またエントリーしても画質に問題のある症例もあり、ハードウェアの改善を試みる。解析ソフトはほぼ完成しているが、信頼性・再現性を検証し、改善に努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)健常眼におけるAO-SLOの撮影 平成23年度に撮影した健常眼の経時的変化を検討するため、再度同一被験者でAO-SLOの撮影を行い、健常眼における同一部位での変化量に関するデータを蓄積する。(2)萎縮型加齢黄斑変性患者眼におけるAO-SLOの撮影 平成23年度からの継続で、萎縮型加齢黄斑変性患者眼における黄斑部視細胞の細胞密度、細胞形態に関するデータの蓄積を行う。特に正常異常境界部位での変化量に関するデータを蓄積する。(3)視細胞の形態と機能の相関に関する検討 平成23年度に確立した形態機能解析ソフトを用い、実際の萎縮型加齢黄斑変性患者における視細胞の形態変化・密度低下と網膜各層の菲薄化・網膜感度低下の関係を解明する。(4)AO-SLOによる萎縮型加齢黄斑変性診断プログラムの開発 AO-SLOから得られた正常眼および萎縮型加齢黄斑変性の病理眼データから、萎縮型加齢黄斑変性の長期予後を判断する診断プログラムや、治療の効果判定プログラムを作成する。視細胞障害の程度は、ETDRSで定められた各セクターにおける視細胞密度の平均値からの異常な偏位の程度として、または異常細胞の占める割合の程度として解析可能である。この視細胞解析ソフトを確立し、視細胞障害の経時変化を求めることにより萎縮型加齢黄斑変性の長期予後を評価し、治療前後に撮影・解析することにより治療の効果判定を評価するプログラムを作成する。
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