研究概要 |
エネルギー、照射密度、照射時間を最適化することにより、家兎角膜においてヒトと同様の平滑な角膜切開(ジグザグ型、トップハット型、マッシュルーム型)を得ることができた。 フェムトセカンドレーザーを用いて切開した正常家兎角膜では、ドナー角膜片、レシピエント角膜ともに検眼鏡的観察において明らかな角膜混濁等の所見は認めず、透明性は保持されていた。また、水疱性角膜症モデル家兎角膜においても、レーザー施行により明らかな検眼鏡的な変化は認めなかった。また、HE染色による組織学的検討においても正常眼では細胞浸潤を認めず、水疱性角膜症眼ではレーザー施行前と比較して同等であった。加えてCD3, CD4, CD8, CD11b, CD20, F4/80, Macrophage, αSMAの免疫染色を施行したところ、正常角膜においてはいずれのマーカーの発現も認めず、水疱性角膜症眼でも施行前と差はなかった。本研究ではヒト角膜と比較して高エネルギーの条件でフェムトセカンドレーザーによる家兎角膜の切開を行ったが、本レーザーが惹起する炎症がないことが確認された。 スクリュー型の角膜切開におけるネジ山の高さやフランク角度といった条件の検討を行った。現在はプログラムを組み込む検討を行っている段階である。本年度は従来の切開方法(ジグザグ型、トップハット型、マッシュルーム型)を行い、最低限の縫合でモデル角膜への移植を行った。術後、いずれの方法においても術後に角膜厚が薄くなり、治療効果が確認された。また、術後の炎症反応についてもHE染色ならびにCD3, CD4, CD8, CD11b, CD20, F4/80, Macrophage, αSMAの免疫染色にて確認した結果、ブレードを用いてマニュアルで切開した通常の角膜移植と同等であることがわかった。
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