研究概要 |
ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)患者および正常対照者より前房水を採取し、プロテインアレーの手法にて炎症サイトカイン群のプロファイリングを行った。その結果、PCV患者においては、IL-4, IL-10, IL-23の有意な増大を認めた。さらに、このプロファイリングをもとにLogistic多変量解析の手法にて各因子のPCVへの寄与を評価した。その結果、PCVに対してIL-23の上昇がもっとも高いオッズ比を示した(最大四分位点に対してのオッズ比16.3; 95% 信頼区間: 3.5-75.2)。IL-23に続き、VEGF, IL-4の増大が有意なリスクとなり、それぞれのオッズ比はVEGF:5.7; 95% 信頼区間1.2-26.1), IL-4 (4.0; 95% 信頼区間1.3-12.7)となった。前房水中のVEGFレベルは、IL-10とIL-4と有意な相関を認め(IL-10: 相関係数ρ=0.477, IL-4: 相関係数ρ=0.281)、これらのサイトカインはVEGF関連性血管新生機序への関与が示唆された。蛍光眼底造影法で評価したPCVの病態の活動性は、IL-5, IL-10, IL-4, IL-23, IL-1αの増大が有意な関連性を示した。以上の結果より、前房水におけるIL-23の増大とPCV,さらには活動性との有意かつ強い相関が示され、PCVの病態においてTh17関連性サイトカインを含む経路が関連していることが判明した。以上の知見より抗VEGF療法以外の治療ストラテジーの標的分子群を解明することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポリープ状脈絡膜血管症における炎症性サイトカインの解析結果は以下の論文として受理された。Sasaki S, Miyazaki D, Miyake K, Terasaka Y, Kaneda S, Ikeda Y, Funakoshi T,Baba T, Yamasaki A, Inoue Y. Associations of IL-23 with Polypoidal Choroidal Vasculopathy. Invest Ophthalmol Vis Sci 2012 in press
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