研究概要 |
眼球は、免疫特権をもった代表的な器官の一つである。そのメカニズムとして前房関連性免疫偏位(ACAID)が知られている。ACAID は、末梢性免疫寛容機構のひとつであり、これまで多くの重要な研究がなされてきた。中でも角膜内皮は、ACAID の成立に関与することが、明らかになってきており、本研究においては、内皮細胞の免疫特権への寄与を免疫調節面から検討した。角膜内皮における主たる病原体感染として、単純ヘルペス(HSV)がよく知られており、角膜内皮へのHSV感染において誘導されるtranscriptomeをnetwork解析を用いて検討した結果、全ゲノムにおけるIndoleamine 2,3-deoxygenase 1 (IDO1)の高度の発現とそれに関連づけられる抗原提示機能が明らかとなった。IDO1は、トリプトファンの除去による抗ウイルス作用の報告があったが、角膜内皮においては抗ウイルス作用は認めなかった。一方、IDO1の抗原提示機能への関連性から、内皮の抗原提示機能を検証した結果、HSV感染のみならず、卵白アルブミンを含めたモデル抗原をCD4細胞に提示でき、Th1型反応を誘導できることが判明した。とくにIDO1が誘導される場合、抗原特異的にIDO1は、クラスII経路依存性に調節性T細胞を誘導することが判明した。IDO1の誘導経路を検索すると、病原体の認識にかかわるPattern recognition receptor, 中でもToll like receptor (TLR)3 やTLR9が重要であることが判明した。
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