研究課題/領域番号 |
23791986
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
宮田 学 岡山大学, 大学病院, 助教 (00548505)
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キーワード | 立体感覚 / スラント感覚 / Listing平面 |
研究概要 |
民生用3Dテレビを用いて健常者における両眼視差により誘発される立体感覚量を定量し、第116回日本眼科学会総会で発表した。幾何学的に想定される値より小さくなる傾向にあった。しかしこの方法では、テレビモニタが邪魔をして、モニタより手前側となる交差性視差による立体感覚量しか定量できない。そこでシースルー型のヘッドマウントディスプレイを用いて交差性および同側性視差を定量する方法を考案した。これは、3Dのバーチャル視標と実空間に存在する実視標の両方が同時に見える。種々の視差を有するバーチャル視標で見える位置と実視標の位置を一致させることで立体感覚量を定量できる。実験方法を確立し、健常者において測定した結果、0.25°の細かな視差に対しては幾何学的理論値より実測値の方が大きくなっていた。しかし1°の粗い視差に対しては幾何学的理論値と同じであった。この違いの理由として、細かな視差には両眼視細胞のうちP細胞が主に関与しており、粗い視差にはM細胞が関与していたため、細胞特性の違いが出たとも考えられる。まだ症例数が少ないため結論づけることはできないが、さらに症例数を増やし、この現象を明らかにしていく予定である。また、3Dテレビを用いた実験で立体視力と立体感覚量には相関がないことがわかった。斜視患者や弱視患者で立体視力が良い症例でも立体感覚量が低下している可能性もある。今後立体視力の良い患者を対象にこの生理学的実験を行い、斜視患者の視空間覚の推定に寄与できるようにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新しい実験系の確立が必要となったため。
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今後の研究の推進方策 |
斜視や弱視の患者を対象に、シースルー型ヘッドマウントディスプレイを用いて立体感覚を定量していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
必要な備品の購入、論文校正、雑誌投稿、学会参加などに使用。
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