研究課題/領域番号 |
23791992
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
石川 慎一郎 佐賀大学, 医学部, 助教 (00404129)
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キーワード | 眼科 / 神経保護 / 虚血再灌流 / アポトーシス |
研究概要 |
前年までの予備実験で得られていた、caspase-3に対するsiRNAのの硝子体腔内導入による、虚血再灌流による網膜視神経節細胞のアポトーシス抑制効果について、上丘上にフルオロゴールドを導入することによる、逆行的染色を行った視神経節細胞の評価と、網膜の垂直方向の断面標本を測定して得られた結果から確認をされた、形態的な神経保護効果について、実験数を重ねて、有意な神経保護効果を確認した。さらに、別のcaspaseであるcaspase-9に対するsiRNAを硝子体腔内に導入を行い、同様の実験系により神経保護効果を確認した。caspase-3に対するsiRNAの導入実験においては、さらに分子生物的な検証を目的として、rt-PCR法によりcaspase-3 siRNAを導入した群において、虚血再潅流後のcaspase-3 RNAの発現抑制を確認し、さらにTUNEL染色により視神経節細胞にアポトーシスの発現が抑制されていることを確認した。 加えて、経時的なアポトーシスの変化を観察することを目的として、caspase-3に対するsiRNAの導入モデルについては、2日・7日・14日・28日にて同じ実験モデルを用いて検証を行い、経時的な変化により神経保護効果が低下していることが、確認された。caspase-9に対するモデルにおいても、同様に2日・7日・14日の形態的な評価にて検証を行い、経時的に神経保護効果が抑制されることを確認された。 以上より、研究目的であるcaspaseに対するsiRNAを用いた、虚血再灌流によって惹起されるアポトーシスの抑制効果の確認を行い、論文報告を行った。 一方で、現時点での神経保護効果は短期的な効果に留まることも同時に確認されたことから、長期的な効果維持による、治療薬への応用にはさらなる検討が必要と考えられることから、次年度以降の検討課題と考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予測通り、短期的なcaspase-3のsiRNAの導入による、虚血再灌流モデルにおける視神経節細胞の神経保護効果は、形態学・分子生物学的な評価から、その有効性が確認され、論文発表がなされたことについては、順調に推移をしていると考える。 一方で創薬に結び付けるにあたっては、効果が短期的である点が問題点となると考えられ、さらなる研究が必要な状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
現在の虚血再灌流モデルは120分間の、網膜虚血によるアポトーシスの誘導を行っている。 最近の報告から、120分の虚血時間はアポトーシス以外の障害を網膜にもたらすことが、示唆をされていることから、虚血時間を短縮し、障害のほとんどをアポトーシスが原因となるモデルによる、同様の実験を行い、神経保護効果の検討を計画している。 加えて、siRNAが生体内で不安定であることから、ドラッグデリバリーシステムまたは頻回のsiRNA投与モデルを用いた、生体内での長期のsiRNA供給による神経保護効果の確認を計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
虚血時間短縮型のマイルドタイプ虚血再灌流モデルを用いた、形態および分子生物学的な神経保護効果の検討を、今年度の実験系と同様に継続して行い論文報告を行うための、動物・試薬・電算機・中途データに対する議論を目的とした学会報告に伴う参加費、旅費などに対する研究費の使用を検討している。ドラッグデリバリーシステムをについては、ベットの試薬や付帯装置についての研究費の使用を検討している。
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