研究課題/領域番号 |
23791993
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
川路 隆博 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (30423677)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 国際情報交流 |
研究概要 |
トランスサイレチン (TTR)の遺伝子変異が原因である家族性アミロイドポリニューロパチー (FAP)は、肝移植の導入により劇的な生命予後の改善を得たが、眼症状の進行は抑制できず、特に続発緑内障はきわめて難治であり、患者のquality of lifeを大きく脅かしている。また、最近我々は、原発緑内障患者の房水のプロテオーム解析により、房水中のTTRが有意な酸化修飾を受けていることを明らかにした。本研究計画では、TTRの遺伝子変異または酸化修飾という二つの側面に着目し、緑内障の二つの病型、FAP続発緑内障および原発緑内障のそれぞれにおけるTTRの役割の解明に取り組んでいる。 当該年度においては、FAP続発緑内障に対する線維柱帯切除術後に高頻度に生じる濾過胞のencapsulationのメカニズムを解明するため、培養ヒト結膜線維芽細胞を用いてin vitro実験を行った。まず、結膜ヒト線維芽細胞自体がTTRを産生していないことを確認した。次に、TTRを様々な程度にアミロイド化させ、アミロイド化したTTRを培養系に添加し、ヒト結膜線維芽細胞の生存率、形態の変化、増殖能、接着能、遊走能などについて検討中である。また、原発緑内障の病態における酸化型(Cys結合型)TTRの意義を解明するために、まず、TTRとシステインを室温下で反応させ、酸化型TTRを生成し、反応時間の違いによる酸化程度の変化を確認中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
FAP続発緑内障に対する線維柱帯切除術後に高頻度に生じる濾過胞のencapsulationのメカニズムを解明するため、培養ヒト結膜線維芽細胞を用いてin vitro実験を行っているが、TTRを様々な程度にアミロイド化させる系が安定するまで予想以上に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に沿って、残りの実験計画を遂行していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画を予定通りに遂行するために使用する研究費の内訳として、消耗品に関しては、ヒト結膜線維芽細胞とヒト線維柱帯細胞の購入、本研究計画に必要な抗体、各種キットの購入、培養実験で必要なプラスチック・ガラス器具の購入を予定している。また、旅費に関しては、本研究計画の成果を国内および海外で発表していく予定である。
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