研究概要 |
硝子体内薬物投与に起因する炎症が網膜色素上皮に与える影響を調べる為に、炎症性サイトカインの代表であるTNF-αについて調査・報告した。当教室で培養可能な極性をもった網膜色素上皮細胞のシートにTNF-αを暴露させると、細胞同士のタイトジャンクション(ZO-1)の破壊が認められた。さらに、TNF-αによるさまざまな細胞内シグナル伝達の中で、MAPキナーゼパスウェイが活性化されることにより、タイトジャンクションの破壊、すなわち外側血液網膜関門の破壊が引き起こされることが分かった。硝子体内薬物投与を行う、加齢黄斑変性やブドウ膜炎は疾患自体も炎症性サイトカインが関与しており、これらの疾患の理解にも今回の研究は有用であった。TNF-αが網膜色素上皮細胞シートに与える影響を初めて明らかにした研究である、論文発表も行った。(Shirasawa M, Sonoda S, Terasaki H, Arimura N, Otsuka H, Yamashita T, Uchino E, Hisatomi T, Ishibashi T, Sakamoto T. Exp Eye Res. 2013;27;110C:59-69)
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