研究概要 |
眼底自発蛍光は主に網膜色素上皮(RPE)に含まれるリポフスチンの自発蛍光を撮影することで、RPEの代謝機能を非侵襲的に評価できる手法である。通常は青色の励起光(488nm, 490nm)を使用しているが、これは中心窩ではキサントフィル等の黄斑色素にブロックされるため、中心窩の眼底自発蛍光の評価が困難であるという問題点がある。そこで、我々の施設では、市販の走査レーザー検眼鏡であるF-10(NIDEK)のバリアフィルターを改変し、緑色光(532nm)を励起光とする眼底自発蛍光(532AF)の撮影を行っている。本研究では、532AFの自発蛍光について、従来の青色自発蛍光(490AF)との差異を検討・解析し、532AFの臨床応用に向けてのデータを得ることを目的としている。 平成23年度は、まず正常眼における532AFの蛍光輝度について解析し平成23年日本眼科学会総会で報告した。次に、病的眼、特に中心窩に異常自発蛍光を示す中心性漿液性脈絡網膜症における532AFを解析し平成23年日本網膜硝子体学会総会で報告した。 平成24年度は532AFの定量化を行うために、F-10内部に蛍光のリファレンスを増設した。532AF撮影時にリファレンスの蛍光も同時撮影し、輝度を比較することで532AFの定量化を目指した。データを解析すると、撮影眼の散瞳状態や532AF輝度によってリファレンスが大変暗くあるいは明るく撮影される場合があり単純な輝度比較が困難であった。どのように真の蛍光強度を定量化するか現在解析を進め、学会発表や論文報告を目指している。平成23年度の発表内容については論文投稿準備中である。
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