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2011 年度 実施状況報告書

水晶体上皮細胞の上皮間葉系移行および細胞収縮におけるスタチンの影響

研究課題

研究課題/領域番号 23792000
研究機関岩手医科大学

研究代表者

玉田 邦房  岩手医科大学, 医学部, 助教 (20583610)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード水晶体上皮細胞 / 上皮間葉系移行 / コラーゲンゲル収縮 / TGF-β / statin
研究概要

1、豚の水晶体上皮細胞をコラーゲンゲル内で培養し、TGF-βによって促進される細胞収縮がLovastatinにより抑制されるか検討した。コントロール群およびLovastatin基剤投与群において、コラーゲンゲルの収縮率は51.9±4.2%および54.4±4.4%であった。TGF-β投与群のコラーゲンゲル収縮率は22.3±4.9%で、コントロール群と比較し、強い収縮を認めた。一方、TGF-β+Lovastatin投与群の収縮率は、38.6±5.6%でTGF-β投与群と比較し、有意にコラーゲンゲルの収縮は抑制された。 2、豚の水晶体上皮細胞にLovastatinおよびTGF-βを投与し、Lovastatinが上皮・間葉系移行に与える影響について検討した。上皮・間葉系移行の主なマーカーであるα-SMAを指標とし、mRNAおよびタンパク発現量を測定した。TGF-β投与群は、α-SMA のmRNAおよびタンパク発現量ともコントロール群より有意に増加を示した。一方、TGF-β+Lovastatin投与群では、それらの発現量の増加が有意に抑制された。 3、2.と同様な方法で、主にコラーゲンIからなる細胞外マトリックスの沈着について検討した。TGF-β投与群において、コラーゲンIのmRNAはコントロール群より有意に増加を示したが、TGF-β+Lovastatin投与群では、そのmRNA発現量は有意に抑制された。 これらの結果より、豚の水晶体上皮細胞において、TGF-βによって促進されるコラーゲンゲル収縮、上皮・間葉系移行および細胞外マトリックスの沈着をLovastatinが抑制することを示した。これより、Statin系薬剤であるLovastatinが白内障術後合併症に対する新しい予防法となりうると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

細胞計数分析装置に不具合が生じたため、急遽新たに購入した。そのため、細胞収縮のメカニズムの検討について、やや遅れが生じた。しかし、Lovastatinが上皮間葉系移行および細胞外マトリックスの沈着に与える影響ついては、おおむね計画通り行うことが出来た。また、その結果より臨床応用への可能性が示され、来年度の実験もほぼ計画通り行えると考えられる。

今後の研究の推進方策

前年度、予定通り行えなかった一部の実験について行う。また、前年度に得られた実験結果のさらなるメカニズムの解明について、追加実験およびその検討を行う。その後、臨床応用への検討を更に進める。その結果、臨床での有用性が期待できれば、白内障手術時に摘出したヒトの水晶体上皮細胞を用いて、同様の研究を行う。

次年度の研究費の使用計画

当初の計画書通り、薬剤、試薬および実験消耗品の購入に使用する。また、学会発表のための旅費や英文論文の校正にも使用する予定である。さらに、ヒトの水晶体上皮細胞を用いるようになれば、確実な手技のため、手術器具についても購入を検討している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Lovastatin alters TGF-β-induced epithelial-mesenchymal transition in porcine lens epithelial cells2012

    • 著者名/発表者名
      浦上 千佳子
    • 雑誌名

      Current Eye Research

      巻: 37(6) ページ: 479-485

    • DOI

      10.3109/02713683.2012.665121

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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