研究課題/領域番号 |
23792004
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
馬渕 春菜 慶應義塾大学, 医学部, 研究員 (70465011)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 網膜 / 光障害 / 酸化ストレス / 細胞死 / 視細胞 |
研究概要 |
網膜色素変性症や萎縮型加齢黄斑変性は、進行性の視細胞死を生じ、重度の視機能低下を来すが、光暴露により、進行が促進されることが知られている。そこで、光障害による視細胞死のメカニズムに関し、酸化ストレスの観点から解析する。将来的には、その結果を、これら不治とされる網膜疾患の進行予防のための治療に応用することを目的とする。今回、網膜内酸化ストレスの抑制に用いるルテインは、その光学異性体であるゼアキサンチンと共に、カロテノイドのキサントフィル類であり、元来光合成細菌や植物が持つ遮光保護物質である。ヒトにおいては水晶体と網膜に備わる唯一のカロテノイドで、光障害の際に生じるフリーラジカルの光障害から水晶体と網膜を保護していると考えられている。太陽光のうち主に青色光は網膜に到達し、活性酸素を多く発生させる。青色光に対してフィルター効果を持つルテインとゼアキサンチンは網膜内に存在する黄斑色素の構成成分であり、強力な抗酸化作用を有する。また、米国の大規模疫学調査により、加齢黄斑変性症に対する予防効果の可能性が示され、現在もAREDS2(Age-Related Eye Disease Study 2)という、大規模な臨床試験が行われ、眼科分野でも注目の集まる物質である。申請者らは、マウスに過剰の光を暴露させ網膜細胞死を解析するとともに、それに対するルテインの予防効果を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光障害のモデルの作成は、申請者の研究室ですでに確立されていたため、研究はスムースに開始された。視細胞のアポトーシスの解析も進んでおり、予定通りの達成を得られている。
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今後の研究の推進方策 |
予定通りの研究を遂行する。すなわち、ルテインで介入した際の細胞死を生じる視細胞数を測定するとともに、網膜の菲薄化に関するデータを、組織学的に解析する。また、その際の視機能保護効果については、網膜電図の測定により行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は、予定通り、実験動物、組織学用試薬・器具類、分子生物学試薬類および網膜電図測定に必要な電極等に用いる。なお未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入に充てる予定である。
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