本研究は、網膜ミュラー細胞・神経節細胞の2種の培養細胞の栄養代謝能を、脂肪酸β酸化を中心に調べることを目的とした。ミュラー細胞の初代培養系の確立に時間を要したが、ほぼ純粋な培養系を確立できた。遺伝子発現解析、酵素蛋白検出といった実験により、ミュラー細胞に脂肪酸β酸化能とケトン体代謝能が存在することが示された。神経節細胞の純粋培養は困難で、代替として大脳神経細胞の初代培養系を用いて特性を調べた結果、神経細胞は極わずかの脂肪酸β酸化能を持つことが確かめられた。これらの結果は、網膜のエネルギー産生機構について新しい知見を提示できると考えている。論文として発表準備中である。
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