脂肪細胞由来の分泌タンパク質、アディポサイトカインがある。生活習慣の変化に伴う過栄養や運動不足により蓄積された内臓脂肪より分泌されるアディポサイトカインが、全身の血管障害、炎症に関与していることが明らかになってきた。本研究では、アディポサイトカインによる糖尿病網膜症における病態の解明と新しい治療法を検討する計画を立てた。アディポサイトカインとしてアディポネクチン、レプチン、レジスチン、TNFα、MCP-1などが知られているが、その中でもアディポネクチンにまず注目した。糖尿病網膜症の硝子体内のアディポネクチンの濃度を測定したが、増加傾向にあるも有意な上昇ではなかった。これを増殖・非増殖と病期に分けて検討しても、有意な編変化を認めなかった。ほかのアディポサイトカインは硝子体内では、検出できる濃度ではなかった。硝子体内では現在のところ検出できるレベルでのアディポサイトカインの変化は糖尿病網膜症では起こっていない可能性が示唆された。 動物モデルの検討は、糖尿病モデルの作成が進まずに検討することができなかった。
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