本研究では、2光子レーザー顕微鏡によって、現在までに研究してきたDSS大腸炎モデルやbacterial translocationモデルの作成・観察の実験経験を活かし、NECモデルの作成・観察を行うことを目的とした。NECモデルを作成する前段階として、LPSを静注することで敗血症モデルを作成し、このLPS単独での腸管微小循環のの変化を詳細に捉えることに成功した。具体的には、腸管壁内のCapillary vesselとPost capillary venuleにおいて、LPS投与直後の敗血症急性期では,Post capillary venuleでのみ,Leukocytes adhesion/ Platelets aggregation on leukocytesが経時的に増加していることが初めて確認された。一方で、Leukocytes rolling numberとrolling speedは、減少していく傾向がみられた。また、Post capillary venuleでは,Leukocytes adhesion numberとPlatelets counts on leukocytesは,時間経過により増加する傾向がみられた. 一方で、Blood flow velocityとShear rateは、ともに時間経過に伴い減少する傾向がみられた.このように腸管壁内のPost capillary venuleにおいて、敗血症時の詳細な変化をin vivoで捉えることに成功している。 次にNECモデルを作成するため、出生直後のGFPマウスを用いて同様の実験を施行したが、あまりにも侵襲に弱く、容易に息絶えてしまうため、ライブイメージでの詳細な検討が長時間にわたって施行することが非常に困難であった。このため、現在、ラット新生児モデルを用いた実験に移行中である。
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