研究課題/領域番号 |
23792031
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永田 公二 九州大学, 大学病院, 助教 (20419568)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 肺発生 / 再生 |
研究概要 |
1)CDHモデルラットの作成1.ニトロフェン投与CDHモデルラット:妊娠9日目の母獣にニトロフェン100mg(オリーブオイルに溶解)を胃内に投与してCDHモデル胎仔を作成した。コントロール群として、オリーブオイルのみの投与群をコントロール群とした。2.比較群設定:妊娠20日目に胎仔を娩出し、開腹して横隔膜の有無を確認し、横隔膜ヘルニア群、非横隔膜ヘルニア群、コントロール群の3群に分別した。現在も検体数を増やしている。2)間葉系幹細胞の採取・精製・培養について1.肺を摘出された胎仔ラットの、脛骨と大腿骨から骨髄採取を試みたが、検体が小さく脆弱であり、骨髄からの採取は困難であった。2.胎盤からの間葉系幹細胞の採取を試みるも精製・分離・抽出作業が困難であり、断念した。3.自家骨髄間葉系幹細胞の採取には手技的・時間的な労力がかかるために、コマーシャルベースのヒト胎盤由来の間葉系幹細胞の投与を行い、先行的実験を行うこととした。4.ヒト胎盤由来の間葉系幹細胞を妊娠11日目の母獣に経静脈的に投与し、その後に出生する上記3群の胎仔肺の成長発達に関しての形態学的群間格差を検証した。3)胎仔肺への間葉系幹細胞の投与効果1.ヘマトキシリン・エオジン染色を行い、上記3群間における形態学的評価を行った。2.肺胞上皮細胞のマーカーであるTTF-1,Sp-Cについて免疫染色を行い、3群間における発現についての形態学的評価を行った。3.肺血管平滑筋のマーカーであるα-SMAについて免疫染色を行い、3群間における発現についての形態学的評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していたラット胎仔の大腿骨、骨髄からの自家骨髄間葉系幹細胞の精製・分離・抽出作業は検体が小さく手技的に困難であり、断念した。また、次に胎盤からの間葉系幹細胞の採取を試みるも精製・分離・抽出作業が困難であり、断念した。間葉系幹細胞が胎仔肺の発達に及ぼす影響をみた報告はないため、コマーシャルベースのヒト胎盤由来の間葉系幹細胞の投与を行い、先行的実験を行うこととしたため実験計画に変更が生じ、遅れが生じた。また、免疫染色に関しては、従来使用していた抗体が劣化しており、原因検索と確認といったトラブルシューティングに時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策については、研究代表者の時間的制約をいかにして克服するかが重要である。当初の実験予定では、胎仔の自家骨髄間葉系幹細胞を用いての肺発達を組織培養を用いて検証する予定であったが、手技的に困難であることや時間的制約もあるために、コマーシャルベースのヒト臍帯血由来の間葉系幹細胞を購入し、これを胎児期に母獣内に投与することで胎児期の肺発達を検証することとした。組織培養を省略することで、これにかかる費用も節約され、手技的にも簡便となり、費用対効果が生じた。また、研究者単独での研究ではあるが、所属部署には実験補助員や大学院生などの実験補佐が可能が人材があり、これを教育、指導することで研究を推進できる可能性がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の研究計画としては検体数を増やしていくことと分子生物学的評価を行うことが次年度の目標である。今後の研究費の使用計画としては、1)母獣ラット購入。2)投与薬剤(ヒト臍帯由来の間葉系幹細胞)購入。3)分子生物学的実験に関する諸費用があげられる。これは従来計上していた研究計画と変更なく遂行可能である。培養系の諸培養液に関しては、実験計画の変更に伴い購入する必要はなくなった。
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