研究課題/領域番号 |
23792032
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
渡邉 高士 和歌山県立医科大学, 医学部, その他 (70508019)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 壊死性腸炎 / microchimerism / 超低出生体重児 |
研究概要 |
壊死性腸炎は発症すると予後の極めて悪い疾患である。この壊死性腸炎の消化管はGVHDを発症した際の消化管像と酷似している。今回我々は超低出生体重児(出生1000g以下)で壊死性腸炎を起こした男児例の病変部消化管の病理切片をCEP XY probeを用いてFISHを行い、性染色体XXシグナルを持つ母親細胞を発見した。HE染色と比較する事によりXX染色体陽性を示す細胞は形態学的にリンパ球と考えられることが明らかとなった。全細胞数に占めるXX陽性細胞は多いところで1000細胞あたり10細胞と一般的なキメリズムの細胞比率と比較すると有意に高い結果となった。しかし細胞の集積部位が新生児の粘膜面に特に高く分布しているかHE染色との連続切片で検討したが、その局在は明らかにすることは出来なかった。以前より母児間のmicrochimerismが原因と考えられている疾患はいくつか報告されているが因果関係を明らかにした報告は無い。妊娠中には母児間で免疫寛容が成立しておりmicrochimerismも成立する。この状態が早期に出生する超低出生体重児で破綻することが壊死性腸炎の原因ではないかと考えられる。chimerismの定量化とXXシグナルを有する細胞の免疫組織化学分析を行うことで発症機序を解明する
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超低出生体重児(出生1000g以下)で壊死性腸炎を起こした男児例の病変部消化管の病理切片をCEP XY probeを用いてFISHを行い、性染色体XXシグナルを持つ母親細胞を発見した。HE染色と比較する事によりXX染色体陽性を示す細胞は形態学的にリンパ球と考えられることが明らかとなった。全細胞数に占めるXX陽性細胞は多いところで1000細胞あたり10細胞と一般的なキメリズムの細胞比率と比較すると有意に高い結果となった。このことは壊死性腸炎がmaternal microchimerismの破綻により発症している可能性を示唆していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はmaternal microchimerismの超低出生体重児における発現頻度とそのchimerismの程度について定量的に評価する。これをマルチカラーFACS(BD FACSAria)にて測定を行う。取り込んだFCSデータはFlowjoソフトウェアー(TreeStar,Inc)で解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究に必要な設備、備品(マルチカラーFACS、遠心分離機など)は当大学、研究室の備品を使用予定であるがマルチカラーFCM抗体やHLAタイピングのための抗体、試薬が必要であり、FCM解析のためのソフトを新たに購入する必要がある。
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