研究課題/領域番号 |
23792033
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
田中 奈々 順天堂大学, 医学部, 助教 (50530656)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ヒルシュスプルング病 / 腸管神経系 / animal model / 神経提細胞 / ライブイメージング / SOX10 |
研究概要 |
我々はこれまでに、腸管の神経提細胞の遊走・分布に関連する遺伝子SOX10に蛍光タンパクVENUSを標識したトランスジェニックマウス(SOX10-VENUS Tgマウス)と、既知のH病モデルマウス(エンドセリンレセプターB:EDNRB 欠如)を交配させることにより、神経提細胞のみを器官培養下に生きたまま蛍光顕微鏡で観察できるヒルシュスプルング病(H病)モデルマウスを開発した。このH病モデルマウスを使用した神経提幹細胞移植実験を行う事に先立ち、平成23年度においては、SOX10-VENUS Tgマウスを用いた正常な腸管における神経提細胞の発生過程を観察する事が重要と考え、SOX10-VENUS Tgマウスにおける神経提細胞の胎生期の経時変化を蛍光ライブイメージング法で詳細に観察した。方法としては、胎生12.5日齢のSOX10-VENUS Tgマウスから実体顕微鏡下で胎児結腸を摘出し、器官培養条件下にて共焦点レーザー顕微鏡を用いたライブイメージング法で経時的に撮影、観察した。結果は、迷走神経由来の神経提細胞が口側から肛門側へ、仙骨神経由来の神経提細胞が肛門側から水平方向と口側方向へと遊走し、腸管神経系が形成される過程を器官培養下にてリアルタイムに観察する事が出来た。今後、H病における腸管神経提細胞の分化・遊走過程の新たな知見を得る目的で、我々が作製したH病モデルマウスの腸管を蛍光ライブイメージング法で観察し、これまでに基礎実験で得られた正常腸管の神経系の発生過程と比較検討する。さらに、H病において異常増生する外来神経の機能を調べるために、腸管神経節細胞の発現、アセチルコリンエステラーゼとそのレセプターの発現、またシナプスの集合に関与するマトリックス蛋白、アグリンの発現などを観察する為に免疫染色を行い、解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度においては、器官培養や蛍光ライブイメージング法に適切な条件を確立し、正常な腸管神経の発生を観察し得た。研究の最終的な目的である疾患モデルマウスへの細胞移植治療の有効性を検討する為に、正常腸管における神経提細胞の発生動態を観察する事は必須である。初年度の進捗状況としては、おおむね順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度においては、平成23年度に得られた結果から疾患における新たな知見を見出すことで、本研究課題の最終目的である細胞移植治療に関する基礎実験の方向性を確立する。また迅速に研究を進める為に、同時にその基礎実験のための条件検討なども開始する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画に大幅な変更はない為、次年度においても予定通り動物維持費、試薬の購入等に使用する予定である。
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