研究課題/領域番号 |
23792035
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
野瀬 聡子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90467564)
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キーワード | 腸管上皮幹細胞Lgr5 / 骨髄間葉系幹細胞MSC |
研究概要 |
腸管虚血再還流モデルを用いてストレス下における虚血再還流障害後の腸上皮幹細胞の維持、分化増殖に骨髄間葉系幹細胞(MSC)およびそのパラクライン因子が関与するかを明らかにすることを目的とした。 平成23年度には、確立した腸管虚血再還流障害モデル(I/R)を用いて、虚血再還流障害後の腸管上皮における腸管上皮幹細胞マーカーLgr5遺伝子の発現およびアポトーシスの変化を確認したが、平成24年度には、その変化が骨髄間葉系幹細胞(MSC)移植によりどう変化するかを確認し、その制御メカニズムの解析を行うことを目的とした。まず、大腸菌beta-galactosidase(LacZ)を、レンチウィルスベクターを用いて、市販のマウス間葉系幹細胞に導入することによって、移植するマウスMSCを培養しマウスへの接種を行った。当初ウィルスベクターにはアデノウィルスを予定していたが、手技的に安定しなかったため、レンチウィルスベクターに変更した。 LacZ-MSCをレシピエントマウス尾静脈より経静脈的に投与を行ったが、I/R群のマウスでは特に投与後の生存率が悪くほぼ半数しか生存しなかった。原因としては、呼吸不全を播種後に起こしたことより、肺梗塞をおこしたためと考えている。播種する濃度を変えることで安定した移植マウスを得ることが可能となった。また、MSC移植マウスと対照群、I/Rマウスとの比較では、腸管上皮幹細胞マーカーLgr5遺伝子の発現が有意な差を検出するには微弱であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
移植するLacZ-MSCの培養系の確立に時間がかかった。当初予定していたアデノウィルスではなくレンチウィルスに変更することで培養系を確立しえた。また、LacZ-MSCをレシピエントマウス尾静脈より経静脈的に投与を行ったが、I/R群のマウスでは特に投与後の生存率が悪く播種するLacZ-MSC濃度の決定に難渋した。さらに、腸管上皮幹細胞マーカーLgr5遺伝子の発現が当初考えていたより微弱にて発現の変化をみるに至らなかったため、使用動物を変える必要が生じ準備に時間がかかっている。以上の理由により研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
使用動物を変更し、予定通り研究を継続する。 より明確に解析するために、レシピエントマウスにLgr5-EGFP-IRES-CreERT2マウス(Lgr5ノックインマウス)を用い、LacZ-MSC移植を行い、虚血再還流後の腸管上皮におけるLgr5遺伝子の発現の変化を確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度にLgr5ノックインマウスを用いて虚血再還流障害後の腸管上皮におけるLgr5遺伝子の発現およびMSC移植によるその発現の変化を検討することでMSCによる腸管上皮幹細胞の増殖分化への関与を明らかにする。
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