研究課題/領域番号 |
23792039
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯田 拓也 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00398603)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 同種複合組織移植 |
研究概要 |
種々の同種複合組織移植の可能性を探求するため動物を用いた予備実験を行った。ラットを用いた胃移植モデル、腎移植モデルなども予備実験として行った。こうした種々の予備実験を行う中で、最も技術的に困難で、かつ成功した際に得られる成果が大きいと予想される眼球移植を中心に研究を進めることとし基礎研究を行った。まずラット、ブタを用いて眼球の血流支配を解剖学的に解析した。眼球赤道面からの渦静脈や視神経周囲の眼動脈はブタでは充分血管吻合が可能な太さであったが、ラットでは0,2mm程度と細く、また眼窩骨のため、in situに移植するのは困難であった。ラット以外では血管的には充分移植可能と考えられたため、続いて最大の難関である視神経の再生に取り組むことにした。視神経は一般には神経再生は起こらないとされる。しかしAguayoらによると末梢神経を網膜や視神経断端に縫合することでaxonが末梢神経内に伸長したという報告や、Chenらの脊髄に末梢神経を縫合することで再生するとの報告に基づき、これを血管柄付き末梢神経移植とすることでさらなる神経伸張を図るというstrategyを考案した。まずラット正中神経を血管柄付神経として移行し視神経と縫合した。しかしラット眼球は超微細血管吻合技術を持ってしてもかなり技術的に困難であることと、ラットは嗅覚、聴覚、触覚を主に利用し、視覚にはあまり依存していないため、術後の評価が難しいことが予想された。組織化学研究所 と検討を重ね、視覚に優れ評価体系が確立しているRabbit (Japan-White)を用いて実験を進めることとした。ウサギ2頭を用いて顔面神経を血管柄付神経として強膜にあけた穴を通して網膜付近に固定した。今後は術後8-12w程度でニューロフィラメント、フルオロゴールドなどを用いて2重染色し神経の再生を組織学的に解析していきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物種や移植する皮弁種などの方向性が確立した。今後はこの方向性に基づき、組織学的解析を進めて計画を進展させられると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
末梢神経の接続部位を変えてみて、視神経に直接縫合したり、あるいは末梢神経側を顔面神経以外にして実験をさらに進めていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
症例数をさらに重ねて評価を行うのに、実験動物代、消耗品代(マイクロ糸等)を要する。また免疫組織化学染色や組織学的評価は組織化学研究所(東京)に依頼する。またこれまでの研究成果をまとめ、学会発表、論文作成を行っていきたいと考えている。
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