現在臨床応用されているリンパ管静脈吻合術は奏功率が低く、根本的に治療法としての問題を有しているものと推察される。その理由の一つとして弁構造を有さない単純な吻合であり、静脈圧と拮抗しリンパ流が停滞、逆流してしまうことがあげられる。我々は、ラットにおける静脈角部の構造を解剖学的、生理学的に観察した。静脈角におけるリンパ管と静脈の生理的吻合部では、内膜構造で内貼りされた構造であるほか、弁状の構造となっており、腹圧の上昇や呼吸性の胸郭内圧変動による逆流を防止する機構がそなわっていることがわかった。この構造を利用して新たな術式の開発に貢献できるものと考えている。
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