研究課題/領域番号 |
23792053
|
研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
荻野 和仁 獨協医科大学, 医学部, 助教 (80405787)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 神経再生 / 神経移行術 / 神経吻合 / マイクロサージャリー / 運動ニューロン |
研究概要 |
第一段階である肋間神経、横隔神経をdonorとした肩甲上神経への遠位モデルの作成を試みた。手術は全て9週齢ラットに対し、pentobarbital腹腔内投与による全身麻酔、深昏睡にて行った。術後9週で吻合部遠位からの標識し、さらに2週間の生存期間の後、灌流固定、脊髄の摘出、観察を行った。肋間神経モデルでは、ラットによる本実験系では肩甲上神経との口径差がやや大きく術後、吻合部の切断が3例中2例に認められた。1例に関しては棘上筋の再支配が確認されこのモデルの逆行性標識を施行した。脊髄前角の観察、撮影、また標識されたα、γニューロンそれぞれの計測を行った。現在、nを増やすべく実験継続中である。これに並行し、肋間神経の支配ニューロンの計測と局所分布の観察を施行中である。横隔神経モデルは、2例に対して神経移行術を施行したが、いずれも失敗に終わった。(1)口径差が大きい(2)距離が長いため吻合部が過緊張である(3)手術侵襲が過大。特に(2)(3)は決定的な不可事由であり、横隔神経モデルに関しては実験を断念した。これに代えて、肩甲上神経の分岐で分かれる肩甲下神経による神経移行術を計画、予備実験を施行中である。肩甲下神経は、口径も同程度であり距離的にも近いため手術手技は単純であるが、肩甲上神経と同じ本幹を持つdonorであり、他の神経とは、性格が異なる。しかし、本実験系は報告が動物実験も含めて皆無であり本研究 考察の担保となりうると考えている。実際の神経吻合の形態学的観察のため、24年度施行予定であったが肩甲上神経を切断後そのまま吻合したモデルの電顕による観察を試みている。中枢側、吻合部、遠位側についてそれぞれ切片作成を行い軸索数、周径の観察を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モデルの作成は本実験系の最も重要な因子であり、横隔神経モデルは断念したが他の2つ(肋間神経と肩甲下神経)のモデルは成功の目途が立ちつつある。当初の計画から若干の遅れはあるが、残る実験は以前の研究にて経験済みであるため、今年度中に挽回可能な遅延と考える。
|
今後の研究の推進方策 |
若干の遅れを認めているが、着実にデータを得ているおり、また残る作業に関してはすでに経験済みのものであるためエフォートの増加を図り、実験を加速させる予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
動物実験用のラット、麻酔薬、標識用試薬、学会参加及び旅費、論文投稿料、英文校正費として使用予定である。
|