研究課題
本研究は、骨髄由来間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cells: MSCs )の生体内における局在と動態、生理学的性質及び役割を明らかにすることを目的とする。近年我々は、特異抗原を指標にフローサイトメトリーを用いて、MSCsを成体骨髄から培養を経ずに直接分離する方法を確立し、マウスMSCsはSca-1(stem cell antigen-1)及びPDGFRα(platelet-derived growth factor receptor α)共陽性分画中に最も高頻度に存在することを見出した。そこで本研究では、MSCsがいつ、どこから、どのように生じるのかを解明するために胎生期MSCsの解析を行った。まず、成体骨髄からMSCsを分離するのに用いたマーカーが胎生期でも機能するのかを調べるために、発生段階ごとにSca-1およびPDGFRα陽性の細胞をFACSにて分離し、線維芽細胞コロニー形成能、多分化能の解析を行った。その結果、胎生(E)11.5-13.5日目ではSca-1陰性の細胞にMSCsが含まれるのに対し、E14.5-16.5日目からSca-1陽性細胞にもMSCsが含まれることが分かった。さらにE16.5ではPDGFRα陽性細胞中のSca-1陰性画分より陽性画分の方がコロニー形成能が高いことが認められた。これまで胎生初期のMSCsは主として神経堤由来で成体骨髄へはあまり寄与せず、E14.5付近から神経堤由来以外のMSCsが生じることが報告されている。我々はSca-1の発現パターンにより胎生期型MSCsと成体型MSCsが区別されるのではないかと考え、Sca-1遺伝子座にCreERT2 2A KOrをknock inしたES細胞を作製し、germline キメラマウスを得た。
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Inflammation and Regeneration
巻: Vol.33 No.1 ページ: 003-012
Methods in molecular biology
巻: 925 ページ: 21-48
10.1007/978-1-62703-011-3_2