研究課題/領域番号 |
23792060
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
名取 悠平 順天堂大学, 医学部, 助手 (80445478)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 皮弁 / 植皮術 / 神経再生 / 短期的神経刺激 / live imaging |
研究概要 |
実験モデルとして、鼠径部にSaphenous nerve及び腸骨回旋動静脈を含めた鼡径皮弁を作成し、それを背部へと移植した。鼡径皮弁を移植する際、その知覚神経を切断する群、圧迫損傷を加える群、そのまま移植する群の3群を作成し、これらの実験モデルを神経軸索が全て蛍光発色するThy1-YFP16と神経軸索が約100色に蛍光発色するThy1-Brainbowで作成した。皮弁は右鼠径部から右浅腸骨回旋動静脈を血管茎とし、伴走する大腿神経の知覚枝を支配神経とする鼠径皮弁を作成した。皮弁の血管茎は非常に細く更にその中から血管を損傷する事無く剥離し、神経のみを同定し切断するには細心の注意を必要としたが、今まで行った皮弁は全て正着しており、計画通り脱神経を行うことができた。経皮的に神経再生を確認した際、不十分な脱毛では神経の評価が行えないことがあった。除毛方法については脱毛クリームや毛を顕微鏡下ですべて抜毛するなどの方法をとらなければいけないと考えるが、皮膚を損傷すると知覚再生に影響が出る事も示唆される為、脱毛方法と皮膚損傷の関係を早急に評価する必要があると考える。Thy1-YFP16は実体蛍光顕微鏡で神経再生を確認できたが、予期せぬ事としては、Brainbowは発現系でも蛍光発色が弱い個体が多く実体蛍光顕微鏡で様々のパラメーターを用い評価を行ったが十分な評価を行えるだけのデータを得ることができず、live imagingで観察することは困難であった。しかし、共焦点レーザー顕微鏡ではBrainbow の神経再生を詳細に確認することができた為、今後の神経再生の評価方法としては、Brainbowでは共焦点顕微鏡を用いたWhole mountで神経再生の起源を確認し、Thy1-YFP16では経時的な神経再生の評価を行うことが良いと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
皮弁の挙上は計画通り行うことができ、神経の同定と脱神経を行うことができた。しかし脱毛が不十分な固体では正確な神経評価ができず、脱毛方法と皮膚への影響を検討する必要があると考える。計画していたBrainbowでのlive imagingによる観察は蛍光発色が弱い個体が多く行うことはできなかったが、Thy1-YFP16ではlive imagingでの神経再生の評価を行うことができた。Brainbowは共焦点顕微鏡を用いたWhole mountで神経再生の起源を確認し、Thy1-YFP16を用い経時的な神経再生の評価が適している事が分かった。
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今後の研究の推進方策 |
皮弁の挙上や技術的な面は問題ないが、その評価方法をどの種類のマウスでモデルを作成すると有効な評価が行えるか今年度に行った経過を踏まえモデル作成を行っていきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウスの飼育費や実験薬品の購入と共に、研究成果の発表を行う為、アメリカ末梢神経研究会、日本形成外科学会への参加と論文作成の際の校正費として用いる予定である。
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