研究概要 |
本研究の目的は、癌細胞に対する移植間葉系幹細胞の生体内動向について動物実験を通して検証するものである。とくに脂肪組織幹細胞に関する癌細胞への影響は未解明であり、本研究では主として口腔領域に好発する扁平上皮癌に対するヒト脂肪組織幹細胞の影響を検証したいと考えている。平成23年度は、具体的研究計画の立案を実施した。平成24年度は下記実験計画に従い研究を推進する。概要としては、扁平上皮癌を培養・増殖させた後、細胞をヌードマウス腹部皮下に移植する予備実験を実施する。その後、癌細胞の生体内動向を観察し実験モデルとしての検証を実施する。本実験としてヒト脂肪組織幹細胞との移植実験を実施する。1. 扁平上皮癌細胞の移植(予備実験):倫理委員会の承認を得た上で、既に報告されている癌細胞移植モデルに基づき(Karnoub AE, Dash AB, Vo AP, et al Nature 2007)、扁平上皮癌細胞をヌードマウス腹部皮下に、任意の細胞数を移植する。移植細胞として500000 細胞個を移植する。2.移植細胞の観察及び肺転移率の検証:移植した癌細胞の動向を約90 日間観察し、腫瘍化の状態を肉眼的に観察し、増加曲線を作成する(腫瘍の成長程度に応じ、観察期間は適宜変更する)。腫瘍化の状況を確認した後(約90 日後)に、実験動物から採取した肺組織にインディアインクを気管支部より注入し、白色となる肺転移箇所を計測する。また同時に組織標本作製用の肺組織を用意し、組織学的観察を実施する。
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