研究課題/領域番号 |
23792070
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
木村 友則 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (90598236)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 遺伝子多型 / 重症感染症 / Autophagy / SIRS / 炎症性サイトカイン |
研究概要 |
本研究では,autophagyと炎症性サイトカイン産生との関与を解明し,遺伝学的アプローチからサイトカイン・モジュレーションを用いたテーラーメード医療を施すことにより,重症化しやすい敗血症をはじめとするSIRS患者および従来の治療では救命困難なSIRS患者の救命率を向上させることが最終的な目標としている.重症SIRS患者のgenotype分布が健常者とどの遺伝子多型において異なっているかを解明し,遺伝的にハイリスク患者の選別を図る.また同時に,それらの遺伝子発現もICUのベッドサイドでモニタリングできるシステムを構築し,SIRS患者の重症化病態への遺伝的関与の確認を図っている. 当ICUに入院してきたICU患者に対し,インフォームド・コンセントを得たうえで,同意を得られた患者全員に対して炎症性サイトカインであるTNF-,IL-1,TGF-, IL-6,IL-8, IL-10, IL-1ra VNTRやautophagy関連遺伝子であるATG16L1(rs2241880),IRGM-261(rs9637876), IRGM-1208 (rs4958842)の遺伝子多型を解析し,重症SIRS患者の遺伝子多型分布とそれらサイトカイン遺伝子発現の傾向をABI PRISM 7900 HT-2 sequence detection systemを用いて,重症SIRS以外の患者と比較した.さらに,当施設でルーチンに施行しているIL-6血清濃度迅速測定で各群のサイトカインレベルを評価した.試料としては,患者の全血よりgenomic DNAを抽出し,genotypingに用いた.遺伝子解析は多型解析も発現モニタリングも,基本的にすべてABI PRISMを用いてTaqMan assayにて行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当ICUに入室してきた患者で当研究に対する同意が得られた検体数は平成23年度において170検体が集まった.現在,炎症性サイトカインであるTNF-,IL-1,TGF-, IL-6,IL-8, IL-10やautophagy関連遺伝子であるATG16L1(rs2241880),IRGM-261(rs9637876), IRGM-1208 (rs4958842)の遺伝子多型を解析中である.また,それぞれの検体に対して炎症性サイトカインであるIL-6の血中濃度を当施設の臨床現場ですでに導入しているchemiluminescent enzyme immune-assay (CLEIA)迅速測定システムを用いて測定している.検体数としては順調に集まってきており,解析に関してもおおむね実験計画に遅れずに進められている.
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き当ICUに入室した患者から同意をもらい,現在の実験を続ける.さらに,重症SIRS患者の遺伝子多型分布とそれらサイトカイン遺伝子発現の傾向をABI PRISM 7900 HT-2 sequence detection systemを用いて,重症SIRS以外の患者と比較する予定である.また,本年度は健常者の全血を用いて in vitroの実験を進める準備をしている.上記遺伝子多型を解析.同時に,全血をLPSで刺激し,その血清中のTNF-αやIL-1,IL-6などの炎症性サイトカインの濃度を測定し,得られたgenotypeとサイトカイン濃度の上昇に関連があるかを検討する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
In vitroの研究を進めるにあたり,サイトカイン測定に必要なELISA kitを購入予定である.また,サイトカイン遺伝子の遺伝子多型を測定するTaqMan assayに用いる比較的高価なTaqMan probeやMaster Mixの購入に次年度の研究費をあてる予定である.
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