研究課題
Autophagyは細胞内の蛋白分解機構の一種であり、不要なオルガネラの分解、病原微生物の排除などの役割が確認されている。IRGM (human immunity-related GTPase)はautophagyを介して細胞内に侵入した結核菌を排除したり、障害されたミトコンドリアを代謝するなどの重要な機能を有している。今回我々は、autophagy関連遺伝子であるIRGM 遺伝子多型と重症敗血症(SS)患者の臨床経過や転帰との関連を検討した。2001年10月から2008年9月までに当施設のICUに入室したSS患者125名を含む259名と、2008年10月から2012年9月までに当施設を含めた5施設のICUに入室したSS患者268名を含む793名を対象に、それぞれをdiscovery cohort/multi-center validation cohortとして2つのcohortで検討した。IRGM遺伝子の一塩基多型(SNP)の一つであるIRGM(+313) SNPに着目し解析を行った。さらに、健常者347名の中から70名を無作為に抽出し、全血をLPSで刺激し、IRGM mRNA発現量を比較した。IRGM(+313)のgenotype分布はそれぞれのcohortにおいてSS、non-sepsis、healthy volunteersの3群間で明らかな有意差は認めなかった。両cohortにおいて、CC+CT genotypesとTT homozygotesとの間で死亡率を検討した結果、non-sepsis群ではdiscovery cohort、multi-center validation cohortともに有意差はなかったが、SS患者群ではどちらのcohortにおいてもTT homozygotesのほうが有意に死亡率は高かった (P=0.012, 0.036)。健常者の血液を使用しLPSで刺激した結果IRGM mRNA発現量は、TT homozygotesにおいて他のgenotypeより有意に抑制されていた(P=0.019)。Autophagy関連遺伝子多型であるIRGM(+313) TT homozygotesは、severe sepsis病態下においてIRGM発現の抑制に関与し、severe sepsisの転帰悪化に影響を与えてsepsisの重症化にautophagyが関連していることが示唆された。
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