研究課題/領域番号 |
23792076
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
古賀 寛教 大分大学, 医学部, 助教 (50468013)
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キーワード | 酸化ストレス |
研究概要 |
敗血症治療薬として、DHLHの効果を証明し、さらに効果判定の指標として、血液中の抗酸化能を検討する試みを行ってきた。敗血症状態では、SIRSに伴い酸化ストレスとそれに続くカスケードが誘導されるが、同時期に防御反応としての機構も働く。内因性に抗酸化物質が誘導、消費されるが、各炎症レベルにおいて、血液中の抗酸化能が、どう変動するかは、明らかとはなっていない。内因性の抗酸化物質の増減を各種測定するだけでは、個体全体での抗酸化能の評価には難しく、また、病態と必ずしも相間しないものも多い。そこで、昨年度は、敗血症状態の血液中のラジカル消去能測定法を確立させる試みを行った。最も細胞傷害性の強い、ヒドロキシルラジカルを人為的に発生させ、試料と混和させ、試料中の抗酸化物質と反応させる。ESR(電子スピン共鳴)装置を用い、残存ヒドロキシルラジカルを測定することで抗酸化力を推定しようとしている。 その結果では、ヒドロキシルラジカルの酸化力が非常に強いことから、血液中に存在する様々な物質(ヘモグロビン、ブドウ糖、アルブミン等)にも反応性を示してしまい、こうしたパラメーターの扱いをどうすべきかを検討している最中である。こうした、体内物質も含めたヒドロキシルラジカル消去能を、個体全体としての抗酸化力として判断すしていいのか、病態との関連性を含めて、今後さらに検討が必要であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
敗血症に対する、DHLH投与の抗炎症効果については、本研究ですでに明らかにしている。今後、臨床応用を見据えた研究の課題としては、その改善効果の機序の解明にある。現在、物質そのものの抗酸化作用が分かっているため、生体内で、その抗酸化作用がどれほど寄与しているのか、もしくは別の機序が関わっているのかを検討する段階にある。以上のことから、当初の予定と照らし合わせれば、概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
敗血症において、DHLHがどのような機序で抗炎症効果、抗酸化効果をもたらしたのかが、メインテーマとなる。特に、物質そのものに抗酸化効果があり、生体内に投与された後の薬物動態とともに、個体そのものの防御機構として抗酸化能がどれほど寄与しているのか、引き続き検討していく予定である。 それと並行して、臨床応用を目標に、投与タイミングによる効果の違い、濃度の詳細な検討が必要と考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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