研究課題/領域番号 |
23792080
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
加藤 祐子 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (50398400)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | RNA干渉法 / 体外循環 / 血小板 |
研究概要 |
ヒト遺伝子ノックダウン血小板細胞を以下の行程で作成することを今年度目標にした。1. miRNAの作成 Bax, Bcl-xl, p38α, AktをターゲットにしたmiRNA塩基配列作成は、Ready MadeのDNA64merの人工miR RNAiインサートを購入。2. アニーリング及びクローニング Double Strandにアニーリング後pcDNA6.2-GW/EmGFP-miRにクローニングした。3. 遺伝子導入 Heck-293細胞(培養細胞)に導入後、目的遺伝子がノックダウンされているか、Real Time PCR(RNAレベル)及び、Flow Cytometry法(蛋白レベル)で確認。4. CMV Promoter (又は血小板特異的なGPIbα Promoter)、及びmiR RNAi entryクローンと共に、BP/LR クローニング反応にてpcDNA6.2-GW/EmGFP-miRよりデステイネーションベクター(pLenti6.4/R4R2/V5-DEST)にmiRNAを組込む。作成したpLenti6.4/MSGW/EmGFP-miR expression plasmid DNAを293FT cellに感染後、ウィルスのタイターを測定。5. 遺伝子導入ヒトCD34+ Progenitor Cell又はマウス骨髄細胞に導入した。6. ヒトCD34+ Progenitor Cellが血小板に分化するようサイトカインを含んだ培養液 (IMDM with 1.5%BSA, Thrombopoietin, IL-6, IL-1b 各10ug/ml, Stem cell factor 50ng/ml) に培養する。7. 血小板に分化後 (約3-4week)、Real Time PCR及び、Flow Cytometry法で、ターゲット遺伝子のノックダウンを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究を行うにあたり、研究代表者はすでにLPSまたはHMGB1刺激を血小板に与えることで細胞死の過程が進行(血小板内ミトコンドリア膜電位の低下と細胞内Bak, Bax発現の上昇、ホスファチジルセリン(Annexin V+)を表面発現するMicroparticle数の上昇)を解明している。人工心肺中において、HMGB1が上昇することが報告されていることから(Anesthesiology, ASA Meeting2010, A435)、これらの要因も関与することをふまえ、研究を行ってきた。また研究代表者はまた、若手研究(B)(H21~H22,)miRNAによるRNA干渉効果を用いた新しい血小板遺伝子ノックダウン手法の開発、 若手研究(B)(H19~H20)RNA干渉法による心筋虚血再潅流後心筋障害のメカニズム解明と遺伝子治療への応用において分子生物学的手法に精通し、miR RNAi発現ベクターを用いた遺伝子抑制法により、遺伝子ノックダウン血小板細胞を開発してきているため、実験の遂行はスムーズであるが In Vitro における血小板機能を調べる実験を介していないため、平成23年度研究実施計画に記した研究内容はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
生理活性物質ResolvinD1, D2(Cayman社)、Ghrelin(Peptide研究所)の前投与により、細胞死変化が抑制されるかどうかを検討し、今後の血小板保護に関する予防法、治療法の方向性を検討する。レゾルビン(resolvin)は、主にω-3脂肪酸であるエイコサペンタエン酸 (EPA)由来のEシリーズとドコサヘキサエン酸(DHA)由来のDシリーズに大別される抗炎症性脂質メディエーターファミリーであり、いずれもグレリンまたはアドレノメデュリン等の生理活性ペプチドと同じく細胞膜安定化作用があり、炎症性疾患への応用が期待される。平成23年度に In Vitro系で測定した細胞死変化を平成24年度はラットを用いたIn Vivo系で起こることを確認し、生理活性物質の投与ににより血小板の細胞死(アポトーシス)をコントロールし、人工心肺下心臓手術による血小板凝集能低下の予防治療の可能性を考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
LPS負荷、又はHMGB-1負荷をすることで細胞死変化がコントロール群に比べ上昇し、またBax又はp38α遺伝子のノックダウン血小板細胞においては、逆に細胞死変化が軽減するとの仮説のもと、血小板機能及び蛋白発現の変化を調べる実験を行う。 In Vitro系で測定した細胞死変化が人工心肺ラットを用いたIn Vivo系で起こることを確認し、人工心肺時間に対する血小板数の経時的変化を観察する。生理活性ペプチドResolvinD1, D2 (Cayman社)、Ghrelin (Peptide研究所) の静脈内前投与により、血小板凝集能低下または細胞死変化が抑制されるかを確認し、生理活性ペプチドの有効性を評価する。具体的な検査項目に関しては、In Vitro系で変化した項目を中心に検査する。 このため、本研究に用いられる試薬(抗体、ペプチド、PCR関連品、インヒビター、ELISAキット、Nulcleofection法を用いた関連試薬、miRNA発現ベクター、培養関連品等)や、フローサイトメトリー用の抗体、ELISAキット、Nuleofection キット、miRNA発現ベクターキットなど、1キット当たり5万円から20万円程度のものを使用し、1回の実験で2万円から5万円程度のコストを要する時もあるため、研究費は主に消耗品費として使用する。
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