研究概要 |
(目的)今回我々は、1)Bax, Bcl-xl, P38α, Akt各々遺伝子ノックダウン血小板細胞にShear Stress又はトロンビン負荷を与えた場合の経時的細胞死変化を定量評価すること、2)細胞透過性ペプチド、生理活性ペプチドを用いて、今後の血小板保護に関する予防法、治療法の方向性を見いだすことを目的に研究を施工した。 前年度に作成したヒト遺伝子ノックダウン血小板様培養細胞をBax,Bcl-xl,p38α,AktをターゲットにしたsiRNAを用いて作成した。細胞は巨核芽球培養細胞(MEG-01細胞)、またはヒトCD34+ Progenitor Cell を用いたが、MEG-01細胞がウィルスベクターを使用せず簡便に遺伝子導入ができ、短時間で血小板様細胞が作成でき、MEG-01細胞から降りした血小板様細胞が血小板機能を保持している可能性があったのでこれを使用した。 (結果)1.Bax遺伝子ノックダウン血小板様培養細胞は、コントールの遺伝子を導入した細胞に比べトロンビン負荷またはずり応力付加による血小板刺激に対し活性化は同程度に観察できた。いずれの細胞においても、PAC-1, CD62Pの発現が同程度に上昇した。Bax遺伝子ノックダウン血小板様培養細胞は、コントールの遺伝子を導入した細胞に比べ細胞死の過程が抑制された。Bax遺伝子ノックダウン血小板様培養細胞において、ミトコンドリア内チトクロームCの低下およびカスパーゼ9,3の発現の上昇が、抑制された。 2.一方で、Bcl-xL遺伝子ノックダウン血小板様培養細胞は、コントールの遺伝子を導入した細胞に比べトロンビン負荷またはずり応力付加による血小板刺激に対し細胞死が亢進した。 3.生理活性物質のResolvin D2の前投与により血小板内Baxの発現が阻害されることで細胞死が抑制された。
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