研究課題/領域番号 |
23792081
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
橋本 壮志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60515279)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 急性肺損傷 / 急性呼吸窮迫症候群 / 人工呼吸 / 上皮間葉形質転換 |
研究概要 |
急性肺損傷/急性呼吸窮迫症候群(ALI/ARDS)の病態の中心は、さまざまな生体侵襲に対する免疫系の活性化に伴う肺の非特異的炎症反応および透過性亢進に起因する肺水腫である。このため、以前より抗炎症作用に主眼を置いた治療法の開発が行われてきた。抗炎症療法は理論的にはALI/ARDSの病態を沈静化しうると考えられるが、実際には治療開始の時期や本症候群の病態そのものの多様性などの問題から、科学的根拠が得られるほどの治療効果は達成できていない。近年、再生医療分野の発展とともに、ALI/ARDSに対する幹細胞移植の有効性に関しても、動物実験レベルで検討がなされている。そして実際に、間葉系幹細胞移植は肺損傷後の上皮修復に有効であるばかりか、炎症反応の修飾作用をも併せ持っていることが明らかとなっている。しかし、幹細胞移植による再生治療の臨床応用には様々な障壁があることも事実である。一方で、薬物学的に上皮修復・再生を誘導し、肺胞の正常機能を回復させることができれば、近未来的に実現可能な治療法となりうる。特に肺の基本的特性ともいえるガス交換機能の早期回復は、人工呼吸器装着期間を短縮し、集中治療に伴う多大な人的ならびに医療資源の削減に寄与し、また医学的にもALI/ARDSの生命予後の改善に貢献する可能性があると考える。われわれは、塩酸片肺気管内投与によるALI/ARDSモデルマウスの作成に成功している。このモデルマウスを用いて、肺損傷後の修復メカニズムを上皮間葉形質転換(EMT)を中心に調査したいと考える。EMTを抑制する薬剤としてトロンボモジュリン製剤を一候補と考えており、次年度では、これを投与することにより肺損傷後の肺組織の再構築の正常化を促進できないか、さらに研究を推進する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該研究の実施等に必要となる時間の配分が想定以上に大きく下回った結果、研究計画が遅滞したものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
当該研究の実施等に必要となる時間の配分を十分に確保した上で、研究対象を絞ることで研究計画の簡略化を図り、さらに研究を推し進める予定である。また基礎的研究に固執することなく、肺損傷や修復過程に関する臨床分野においても研究を発展させたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在までの遅滞していた研究計画および次年度に予定していた研究計画を集中的に推進する予定である。具体的には、塩酸投与急性肺損傷モデルマウスに、トロンボモジュリン製剤を経静脈的にあるいは経気管的に投与する。上記の肺損傷後の上皮間葉形質転換(EMT)シグナル経路に関する解析を行い、その関連性を調査する。また、急性肺損傷修復過程をコントロール群と比較し観察する。急性肺損傷の重症度評価には肺乾湿重量比や肺胞内タンパク濃度、気管支肺胞洗浄液中の細胞成分解析や、ELISAによるサイトカインアッセイ、肺組織学的評価によって行い、炎症反応の修飾の度合を評価する。また、肺線維化の評価として、肺の組織学的評価のほかコラーゲン定量解析を行う。また、肺損傷、修復に関連した臨床研究に発展させたい。以上の研究計画において予定した研究費を使用するものとする。
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