研究課題/領域番号 |
23792084
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
小林 こず恵 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (60448975)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | VILI / 遺伝子発現解析 / 伸展刺激 / PEEP |
研究概要 |
人工呼吸は患者の換気や酸素化が不十分な時に用いられるが、この人工呼吸による肺の過伸展(過膨張)が肺傷害を引き起こす、または既存の肺傷害を増悪させる場合があることがわかってきた[人工呼吸誘発肺傷害(VILI)]。VILIメカニズムの解明とVILIを予防する人工呼吸の設定を最終目標とし、本研究ではin vitroの培養細胞伸展システムを用いて、機械的伸展が肺動脈血管内皮細胞に与える影響を明らかにする。遺伝子発現及びサイトカイン産生の時系列解析によって、機械的伸展からサイトカイン産生に至るシグナル伝達経路を同定し、人工呼吸が肺障害を引き起こす過程の遺伝子発現経路を予測する。H23年度の研究では、1. 肺胞動脈内皮細胞に過伸展模擬ひずみを加えた実験による炎症性物質産生(IL-6)と遺伝子発現解析の時系列解析の結果から、機械的伸展からIL-6産生に至る経路として、伸展刺激による細胞内Ca2+濃度変化を起点にIL-6産生に至る候補経路、伸展刺激→Ca2+→EGR1→EGFR→COX2→IL-6という信号伝達経路と、伸展刺激→Na+/Ca2+exchanger→CTGF→TGFB→FOXC→IL-6という信号伝達経路が存在する可能性が示唆された。2. 臨床においてVILIの危険性を減らすと言われている呼気終末陽圧(positive end expiratory pressure)を模擬したひずみ(以下、PEEPとする)を用いた実験も行い、過伸展模擬ひずみにPEEPを加えると、細胞のIL-6産生量は過伸展模擬ひずみ単独の場合よりも減少することが示された。つまり、PEEPを加えることによって肺の過伸展時のIL-6産生を抑制できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
肺動脈血管内皮細胞を用いた伸展実験によって、伸展刺激と遺伝子発現量および伸展刺激と炎症性物質産生量の時系列計測を行った。その結果から機械的伸展を起点としてIL-6産生に至る候補経路が推定された。すなわちH23年度の計画は順調に実施された。さらに、H24年度の研究計画のPEEP模擬伸展伸展と炎症性物質産生量の時系列計測の一部に着手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度は、研究計画通りに研究を推進する。特に、H23年度に推定した機械的伸展からIL-6産生に至る候補経路の検証に重点をおいて、細胞の伸展実験と遺伝子発現量の測定(リアルタイムPCR)を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
H23年度に推定した機械的伸展からIL-6産生に至る候補経路の検証のため、細胞培養関連試薬とリアルタイムPCR試薬の購入、および研究成果報告として学会(欧州呼吸器学会等)での発表のための旅費を予定している。
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