本研究は、SIRS患者において、炎症を惹起するメカニズムにいかにATPが関与しているのかを明らかにすることを目的としている。 1.ATPの絶対値には患者個人や病態によって違うものの、健常人に比べSIRS患者では、明らかに高値を示すことが明らかとなった。クラッシュ症候群や、重症急性膵炎などでは、異常高値をしめすことがわかったが、APACHE score や SOFA score などの重症度スコアとは関連を認めなかった。 2.心肺停止後蘇生後脳症の患者では、心肺停止時間とATPに相関関係を認め、神経学的予後および生命予後とも関連していることが明らかとなった。 3.敗血症におけるミトコンドリア機能不全については、注目されており、症例がまだ少ないものの、ATPの産生ができない病態が関わっていることが示唆された。また、好中球のATPを染色する色素を用いて、その動態を調べる方法を模索中である。
|