研究課題
短時間四肢虚血による心筋保護メカニズムの検証として、まず我々はマウスで短時間四肢虚血後に心筋保護に重要とされるサイトカイン血清エリスロポエチン、G-CSF、LIF濃度測定を行った。結果として血清エリスロポエチン濃度の有意な上昇を確認した。腎臓においてもリアルタイムPCRでエリスロポエチンの発現の上昇を確認した。さらに、短時間四肢虚血後マウス腎臓において皮髄境界部にエリスロポエチンの発現を誘導するとされるHIF1αの強い発現が確認された。このことは、短時間四肢虚血後腎臓におけるHIF1αの誘導が腎臓からのエリスロポエチン分泌に重要であることを意味する。短時間四肢虚血後の腎血流を検証したところ、短時間四肢虚血後マウス腎臓において腎血流の低下が確認された。マウス腎神経をフェノールで除神経するとその低下が見られなくなることから、我々は短時間四肢虚血後の腎血流低下には神経調節が重要であることを発見した。短時間四肢虚血後の腎臓からのエリスロポエチン分泌が心保護に働くかマウス心筋梗塞モデルを用いて考察し、短時間四肢虚血後に心筋梗塞を作成すると梗塞層の縮小が見られることを確認し、この梗塞の縮小は抗エリスロポエチン抗体で消失することを確認した。最後に人において短時間上肢虚血後に血清エリスロポエチン濃度の上昇をマウス同様に確認し、腎血流も低下することを発見した。
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