研究課題/領域番号 |
23792095
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研究機関 | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
JESMIN Subrina 独立行政法人国立国際医療研究センター, 遺伝子治療開発室, 室長 (60374261)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | Sepsis / ALI/ARDS / microcirculation / VEGF signaling / therapeutic options / Lipopolysaccharide |
研究概要 |
敗血症関連のAcute lung injury(ALI)の分子メカニズムについては、未だ不明である。Vascular Endothelial Growth Factor(VEGF)は生体内で重要な血管透過性更新因子および分裂促進因子であり、敗血症におけるALIの進行に関与している可能性がある。Lipopolysaccharide(LPS)誘発性エンドトキセミアラットモデルを用いて、我々は、ALIにおける低下したVEGFシグナルの回復を目的とした様々な治療法を検討してきた。Flt-1遮断薬投与は低下した肺VEGFレベルを改善し、上昇した血漿および肺のTNF-αレベルは、血液ガスの酸素化および肺のwet-to-day比とともに改善した。Protease activated receptor (PAR)-2遮断薬投与もALIによる低下した肺組織VEGF発現レベルを部分的に回復した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は、LPS誘発性の敗血症ラットモデルを用いた多くの実験をしてきた。VEGF受容体遮断薬、TNFα遮断薬、PAR2遮断薬、エンドセリン遮断薬、組み換えVEGF投与など様々な治療薬を用いてVEGFのシグナルカスケードに関する検討を行ってきた。また、形態学的、機能的、組織学的、臨床的な解析も行ってきた。血管新生因子、炎症性サイトカイン、凝固・線溶系因子などの候補遺伝子の発現も検討してきた。In vitroレベルでは、心筋細胞および肺胞マクロファージの培養検討も行った。加えて、敗血症、外傷、心肺停止患者の血清/血漿サンプルよりVEGFシグナルの活性を調べた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、我々は、多くの遺伝子学的検討を行った。我々は心、肺、肝、腎を用いてマイクロアレイのデータから生物情報学的解析を行う予定である。それにより、VEGFシグナル伝達系の変化が敗血症による多臓器不全に関与しているかを確認する。また今年度は、昨年度得たこれらの敗血症モデルのさまざま臓器を用いて、全身的なデータとして解析する。これら一連の実験系を通して、TNFαと同様に、VEGFシグナルの変化が敗血症による臓器障害に対して致命的となることを確認した。今年度は、よりメカニズムに焦点を当てて、敗血症によるVEGFシグナル変化の上流、下流の分子について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、動物実験用の準備・試薬に研究費の40%を使用する。約30%の研究費を動物実験関係の人件費として使用する。約10%の研究費が動物実験のための備品として必要となる。また、10%の研究費が旅費、学会参加費として必要である。残りは様々な目的でのコピー・印刷代として使用する。50万円を超える備品の購入はしない。
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