研究概要 |
野生型マウスの臼歯歯胚(E13.5, E14.5, E15.5, E18.5)におけるBcl11bの発現を免疫染色により確認した。Bcl11bは外胚葉性の細胞に発現しており、E13.5では口腔上皮や歯胚プラコードに、それ以降は外エナメル上皮側でより強い発現が認められた。また興味深いことにBcl11bの発現の強弱に相反してβ-cateninの発現が認められた。我々のこれまでの腸管や胸腺におけるBcl11bの研究からBcl11bがβ-cateninを抑制的に制御することがわかっており、歯胚形成過程でも同様の機構が働いているようである。次にS826G/KO や+/+、KO/+マウス胚を作製すべく、S826G/+マウスと KO/+マウスの人工授精-胚移植を行ったが、2011年6月に本研究に関連する論文(Katsuragi et al., Developmentに投稿, Ref.1)がrejectとなったため、これらのマウスの大半を3週齢切歯のサンプル用に転用した(この論文は近く再投稿)。現在再度準備中であるが、E14.5においてはS826G/KOの臼歯歯胚領域が野生型と比較して拡大していた。またこの論文に関連して、S826G/KOではエナメル芽細胞系譜のβ-catenin発現亢進がみられたが、一方でp27やp57の発現増加を伴い、細胞増殖能が顕著に低下していた。・Ref.1 Bcl11b transcription factor controls the maintenance of ameloblast-lineage cells in mouse adult maxillary incisors. Katsuragi Y, Anraku J, et al.(再投稿準備中)
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