研究課題
歯周病は早産および低体重出生の危険因子であると考えられている。Porphyromonas gingivalisどの歯周病菌の口腔から胎盤への血行性感染が原因とされているが、胎盤感染から早産へと至る発症機序についての研究はなされていない。さらに早産の原因として、サイトメガロウイルス感染も重要視されている。P.gingivalisに感染された不死化胎盤栄養膜細胞(トロホブラスト細胞)をシグナル伝達、細胞周期ならびにアポトーシスを解析することにより、歯周病による早産(低体重出生)誘発の細胞分子基盤と病因論の研究を展開した。本年度は、P.gingivalisと不死化トロホブラスト細胞に共感染させる前に、細胞周期G1アレストが起こり、DNA傷害が誘発されアポトーシスが起こるシグナル伝達経路の詳細を明らかにした。ATR-Chk2経路の活性化とp53 ser15のリン酸化が認められた。また、MDM2の分解に伴い、p53が蓄積した。活性化されたp53はサイクリン依存性カイネースインヒビターp21を誘導し、細胞周期G1アレストを誘発した。さらにp53によりFasが活性化され、アポトーシスが誘導された。同時にプロテアーゼの刺激によりRas-Ets1-ERK1/2経路も同時に活性化することにより、サイクリン依存性カイネースインヒビターp16を誘導し、細胞周期G1アレストおよを誘導されることが明らかにした。これらの経路のみならず、JNK/p38/ATF2経路も新たに関与することが本年度明らかにすることができた。現在、さらに期間申請をし、p38-p53経路の詳細を検証している。同時に、サイトメガロウイルス共感染とのデーターを作成している。
3: やや遅れている
P. gingivalisの単独感染によるシグナル伝達は、その詳細が解析されたことがない。そのため、シグナル伝達経路の解析が多岐にわたり、サイトメガロウイルスとの共感染データーの完成が遅れている。しかしながら、P. gingivalis感染によるシグナル伝達経路の解析が完成しつつあり、先に、P. gingivalis単独感染によるデーターを論文化ならびに学会報告できる状態にある。
今後、まず解析の完了を見ているP. gingivalis単独感染によるシグナル伝達経路の解析を先に論文化する。それと並行して、サイトメガロウイルス共感染ならびにマウスのデーターを完成させる予定である。
P. gingivalis単独感染によるシグナル伝達経路の解析を先に論文投稿ならびに学会発表に研究費を優先的に使用する予定にしている。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
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