研究課題/領域番号 |
23792105
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
南崎 朋子 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30452593)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 細胞・組織 / リン代謝 / 骨芽細胞 / PTH / FGF23 |
研究概要 |
現在日本の二次性副甲状腺機能亢進症(sHPT)患者は約10万人いると推定され、内科的治療の効率性向上に大きな期待がかかっている。一方、本研究代表者らはこれまで、活性型ビダミンD、PTHおよびその他の因子(FGF23、Klotho等)による骨局所でのミネラル代謝調節において研究を行っており、中でも分泌型Klothoを用いて血中PiおよびCa濃度に影響することなく骨の石灰化を調節することに成功するなど、骨を基軸とするミネラル代謝異常の治療を現実的なものにしつつある。そこで本研究代表者は、PTH-FGF23フィードバック機構の正常化を主とする骨からのアプローチがsHPTの新規治療法の開拓につながると想定し、骨におけるFGF23のシグナルを抑制するPTHの下流因子を特定し、直接血中Ca濃度に影響することなくPTHの分泌を抑制し、骨・関節症状や異所性石灰化を軽減・消失させるという治療の可能性に着目した。 当該年度では、PTHによるFGF23のシグナル抑制のメカニズムを明らかにするためにPTHR1発現調節モデルの作成およびsHPTモデルラットの作成を計画していた。前者は想定通り継続中であるが、後者については代謝ケージを用いた飼育が困難なため、外注委託に変更検討中である。また、RC細胞を用いたPTHの下流因子(FGF23シグナル抑制因子)の同定あるいは限定を目的とした実験について、PTHの下流因子候補の絞り込み(PKA・PKCリガンド、Gタンパク共役型受容体リガンド等)を行い、PTHおよび下流因子候補を用いたFGF23シグナル抑制有無で変動する遺伝子を網羅的に解析、検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vitroの実験系は概ね順調であるが、先述の通り、正常ラットの5/6腎切除後、尿中マーカー(GFR、Ccr、BUN、Cr、Pi、Ca等)をモニターしながらsHPT発症を確認する作業がハード面で困難となったため、sHPTモデルラット作成を外注委託するか否か検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
先述のsHPTモデルラット作成については、外注委託をしない場合、正常ラットに浸透圧ポンプを皮下埋入し、恒常的に高レベルのPTHを維持するモデルの作成も検討する。その他、以下の3点を行う。・RC細胞を用いたPTHの下流因子(FGF23シグナル抑制因子)の同定あるいは限定・RC細胞およびPTHR1発現調節モデルにおけるPTH下流因子を標的としたFGF23シグナル正常化の検討・sHPTモデルラット(もしくは浸透圧ポンプを用いた正常ラット)におけるPTH下流因子を標的とした治療検討
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次年度の研究費の使用計画 |
・PTHの下流因子をRC細胞およびPTHR1発現調節モデルにおいて再現性確認関連経費:培養試薬・器具・RC細胞にPTH投与下あるいはPTHR1発現調節モデルにおいて、PTH下流因子を阻害(中和抗体・アンタゴニストの作製完了が期間中に困難な場合は、効果の検討はsiRNA等の遺伝子操作のみ行う)することでFGF23シグナルが抑制されないことを確認、その効果によって以降の実験に用いる手法を選択する関連経費:培養試薬・器具、中和抗体・アンタゴニスト作製依頼または購入費、遺伝子操作(siRNA等)関連試薬、リアルタイムRT-PCR等の発現解析試薬・sHPTモデルラット(もしくは浸透圧ポンプを用いた正常ラット)に対してPTH下流因子を標的とし、1)で効果的と判断した手法で治療 (投与方法は要検討 e.g.キャリアの有無、腹腔・皮下・静注等)、「FGF23シグナルが正常化するか否か」「直接的に血中Ca濃度が上昇しないか否か」「骨・歯(硬組織)および血管(軟組織)への石灰化の影響したか否か(X線および組織学的)」を検討する。関連経費:ラット飼育維持費、処置材料費、腎および血中マーカー測定キット、リアルタイムRT-PCR等の発現解析試薬、X線μCT解析費、一般組織・免疫染色用試薬
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