研究課題/領域番号 |
23792107
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
王 冰 九州大学, 歯学研究科(研究院), 学術研究員 (20452716)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | TRPV4 / 口腔粘膜 / 低浸透圧 / 機械刺激 / 頬粘膜 / 電気生理 / カルシウムイメージング / 容積調節 |
研究概要 |
口腔粘膜は、常に食物や飲み物などより物理機械的刺激に曝されている。私は、この物理機械刺激を口腔上皮が感知し、その刺激に対応して上皮組織を防御しているとの仮説をたてた。TRPV4(Transient receptor potential cation channel subfamily V member 4) チャネルは低浸透圧、機械刺激および温度刺激により活性化されるカルシウム透過性チャネルである(Nilius B, et al., 2003)。そこで、口腔粘膜上皮におけるTRPV4チャネルの発現を調べた。TRPV4は口腔粘膜上皮に発現するTRPチャネルファミリー群の中でも強く発現していることをRT-PCR法およびWestern blotting, 免疫組織化学により確認した。TRPV4の生理的機能を調べるためにラット初代頬粘膜上皮細胞の培養系を立ち上げ、電気生理学的な挙動を知らべた。whole-cell patch clamp法による電位記録によりTRPV4作用薬により誘発された細胞膜電流の増強が見られた。カルシウムイメージング法により、TRPV4の活性化剤および阻害剤は細胞内カルシウム濃度上昇を促進した。口腔は常に唾液に浸されている。唾液は血清や組織中に比べると浸透圧が低い。粘膜上皮がこの環境下でどのようにバリア構造を保っているのかは全く報告がない。そこで、このTRPV4が口腔粘膜上皮における浸透圧センサーであるとの仮説を立てた。細胞外への低浸透圧液の刺激によって、細胞内カルシウム濃度の上昇が確認された。細胞は低浸透圧に曝されると細胞の膨張がおこり膨張しすぎると破裂するが、それに抗するように細胞容積を調節する機能を備えている。口腔上皮細胞においてもこの容積調節機構を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標であったTRPV4の局在および低浸透圧刺激による細胞内カルシウム濃度上昇や電気生理学的な挙動を明らかにすることができた。また細胞生物学的な解析も順調に進んでおり、TRPV4による細胞間接着の制御機構が明らかになったことで、目標はおおむね達成された。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、細胞伸展装置により培養細胞に伸展刺激を加え、TRPV4を介した細胞内カルシウム濃度変化を明らかにする。さらに、細胞への伸展刺激が口腔粘膜に於いてどのような生理的意義があるのかを調べることを予定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物の購入:30万円試薬の購入:30万円実験器具:10万円学会参加費用:10万円英文論文校正:10万円
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