研究課題/領域番号 |
23792109
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
佐藤 啓子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70410579)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 細菌 / タンパク質分泌 / プロテアーゼ / 歯周病 |
研究概要 |
歯周病原細菌Porpyromonas gingivalisの病原タンパク質分泌機構について、分泌装置(Por分泌装置)がどのような仕組みで分泌タンパク質を認識、識別、分泌するのか、分泌する側およびされる側の両因子から解明を進めている。 これまで、本菌の最も重要な病原因子であるプロテアーゼ、ジンジパインを分泌される側の対象として解析を行ってきた。ジンジパイン以外にも、Por分泌装置によって分泌されるタンパク質があるのか、分泌装置が機能する株と、しない株の培養上清のタンパク質を2次元電気泳動に展開し、質量分析にてタンパク質を同定したのち、比較した。その結果、ジンジパインを含め、少なくとも13のタンパク質がこの分泌装置によって分泌されていることが分かった。この中には、これまでに病原性に関わると報告されるタンパク質も含まれていた。さらに、これら13のタンパク質のアミノ酸配列を比較したところ、分泌される側のタンパク質のC末端領域には共通した配列が存在し、Por分泌装置で分泌されるためにはC末端領域の認識が重要であることが予測された。さらに、遺伝子操作により、このC末端領域を一部欠失させると分泌されるなくなることから、C末端領域は分泌装置の認識に重要であることがわかった。 一方、分泌する側の装置については、平成24年度の計画に向け、P. gingivalis内で分泌装置の解析を可能にするツールの作成をおこなった。分泌装置タンパク質にタグをつけた融合タンパク質を、機能を維持したままP. gingivalis内で発現することができた。また、大腸菌で分泌装置の各々のリコンビナントタンパク質を発現させ、これらの特異的抗体も得ることができた。これらを用いて菌体内での局在を観察する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の主な「研究の目的」は分泌装置(Por分泌装置)がどのようなタンパク質を分泌しているか、ということである。分泌されるタンパク質を明らかにするとともに、そのアミノ酸配列から、分泌タンパク質に共通した領域を見いだすこともできている。また、平成24年度に向けた準備も進んでいることから、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は交付申請書に記載した通りに進めていく。申請者が所属する研究機関では進めることが難しい解析においては、共同研究をお願いする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は薬品、ガラス器具、プラスチック器具等の消耗品に使用するとともに、共同研究先への出張旅費としても申請する。
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